記録的豪雨により死者65人、行方不明者2人の甚大な被害が生じた熊本県。日本共産党の志位和夫委員長は7月17日、県南部の人吉市と球磨村を訪問し、長期化する避難生活と住まいや生業(なりわい)の再建に不安を抱える被災者の切実な要望を聞きました。県庁では蒲島郁夫知事、人吉市で松岡隼人市長、球磨村で松谷浩一村長と懇談し、共産党の呼びかけに応じて寄せられた義援金を手渡しました。
訪問先で志位氏は、新型コロナと豪雨という二重の災害に対し、事業所の再建を支援するグループ補助金のすみやかな適用とともに、中小企業・小規模事業者への直接支援の実現など、これまでにない支援が必要だと強調。被災者の願いにこたえて全力で支援に取り組む決意を表明しました。調査には田村貴昭衆院議員(党対策本部事務局長)、山本伸裕県議、本村令斗、塩見寿子両人吉市議、松岡勝・熊本県委員長が同行しました。(関連記事)
「街自体が消滅の危機」市長訴え 人吉市
球磨川の氾濫で20人の市民が死亡(16日現在)し、約5000棟が浸水被害にあった人吉市。商店街の市内中心部の九日町商店街の店舗には2階部分にくっきり洪水のあとが残ります。
志位氏は党市委員会の事務所で被災した市民から話を聞きました。
67歳の男性は「天井まで水につかり中はぐちゃぐちゃになりました。今は友人の家に避難しています。支援物資は届かない」と語りました。避難所で生活する80歳の女性は、「精神的に苦しい。避難所にいる方はみなさん、『寝られる場所がほしい』と話しています」と肩を落としました。
店取り壊すしか
志位氏は、球磨川沿いの九日町商店街を歩きました。2階近くまで水につかった時計店の店主(51)は、「コロナで売り上げが落ちた上でのこの被害です。設備のための資金や運転資金、とにかく資金が心配です」と不安を打ち明けました。靴屋を経営する男性(73)は、「商品は全滅。店もぐちゃぐちゃ。もう取り壊すしかない」と語り、「建て直したとしても、今後も水害が起こるかもと考えると住むのも不安です。このあと商店街が成り立たなくなるかもしれない」と述べました。
人吉市の観光を支えてきた老舗の人吉旅館の女将(62)は、1階部分がすべて水につかり、泥に埋まった旅館内の片付けの最中でした。
志位氏の激励に「頑張ります」と気丈に答えた女将さん。志位氏が「頑張るのは国です。みなさんに支援が届くよう国に求めます」と語ると、「そうですね。そうですね」とうなずき、目頭を押さえました。
コロナと二重苦
松岡隼人市長は、自身の自宅も浸水し、家族は屋根の上に避難したと語りました。「国への要望を率直に話してください」とうながした志位氏に松岡市長は、「市内の業者は、コロナで大変な窮状になり、目いっぱい債務を抱え、『さあこれから』という時に豪雨災害に遭いました。二重のダメージをうけ、街自体が消滅の危機にあります」と強調しました。「災害対応の支出で、財政状況が厳しい。自治体への財政支援をお願いしたい」と求めました。
志位氏は、「政府に対し、自治体に対する財政支援や市町村の自由な裁量で使える基金の創設などを求めたい」と表明。松岡市長は「ありがたい」と答えました。(しんぶん赤旗 2020年7月18日)