日本共産党国会議員団の「2020年梅雨前線豪雨災害対策本部」(本部長・小池晃書記局長)は各地の被災地を調査。対策本部事務局長の田村貴昭衆院議員に、九州を中心にした現地の状況や課題について聞きました。
被災地に入ると、言葉を失うような状況が広がっています。大雨が続いているため復旧が進んでいません。二次、三次災害の危険もあります。
熊本県人吉市や球磨村の避難所の食事は朝・昼はおにぎりやパン、夜は弁当でした。温かい汁ものは配布されていませんでした。新型コロナ対策とともに、エアコンの設置などの環境改善も急務です。
浸水地域は上下水道が復旧しておらず、自宅トイレも使えない状況です。町内会長は「人権にかかわる問題だ。仮設トイレを設置してほしい」と強く訴えていました。
多くの被災者が追われる泥出しを困難にしているのが断水、停電です。球磨村の被災者は「山の湧き水でやっているけど、どうにかしてほしい」と訴えていました。
八代市(熊本県)の坂本町は、橋が流失し、国道も通行止めで事実上の孤立状態です。ライフラインはマヒし、物資も届かない状況でした。
新型コロナウイルス感染拡大のもと、政府は自治体の指定避難所以外に身を寄せる「分散型避難」を呼びかけています。「避難所が遠い」「コロナが気になる」などの理由で、多くの被災者が自宅、車中などに避難しています。
そうした被災者のなかには、食料も届かず食うや食わずで、片付けに追われている人たちもいます。被災者からは「避難所にモノをもらいには行きづらい」という声も出ています。
「分散型避難」を呼びかけた以上、政府は、こうした人たちに、必要な物資を緊急輸送するプッシュ型支援を行う責任があります。
災害ごみ、土砂の片づけも大変な状況です。人吉市では、被災者から「ごみ袋が足りない」「仮置き場が一つしかなく、車で往復5時間もかかる。増設してほしい」などと訴えてきました。他の地域でも「2階も土砂でドロドロ。自分だけでは出し切れない」「災害ゴミを取りに来てほしい」などの要望が出されました。
球磨村や小国町の首長からは財政や人的な支援を求められました。自治体職員も被災していて、人的支援も必要です。
商工業の被害も深刻です。少なくない業者が、新型コロナによる自粛要請のなかで休業し、持続化給付金を受け、融資も活用してなんとか踏ん張ってきました。ようやく営業を始めたところで豪雨災害に襲われました。人吉市の商工会議所の専務理事は「これ以上の借金はできない」と訴えました。
小国町の杖立温泉の老舗旅館のご主人は「自粛休業のために給付金を受け取り、融資は目いっぱい借りた」と話しました。ある事業者からは「心が折れそうだ」との訴えも寄せられました。
事業継続へ直接支援を
熊本地震の際のグループ補助金(復旧費用の4分の3を国と県が補助)を今回の豪雨災害でも全面適用して、失われた機材や設備の復旧に最大限の支援をするべきです。経営継続のためには、貸し付けではなく、直接支援が必要だと痛感しました。
現地調査を踏まえ、早急に国、地方へ、申し入れなどを行い、課題解決に向け全力をあげていきます。(しんぶん赤旗日曜版 2020年7月19日号)