九州地方を襲った記録的豪雨と球磨川の氾濫で4人が死亡し、1人が行方不明になっている熊本県八代市坂本町(旧坂本村)では7月20日、重機による生活道路の復旧作業や土砂の除去が急ピッチで進められました。被災者たちは崩落した一般道の代わりに高速道を利用して、自宅の片づけや医療機関に通っています。
田村貴昭議員ら尽力
同町ではJR肥薩線の線路に土砂が流入し、災害発生から2週間以上たっても、復旧のめどがたたない状況です。八代市街地につながる国道219号も複数箇所で護岸ごと崩壊し、孤立状態が続いていました。
住民らは町内にある九州自動車道の坂本パーキングエリア(PA)の管理用ゲートを開放し、代替路を確保するよう要望。九州道を管理するネクスコ西日本は9日から上り線のゲートのみ開放し、地元住民や緊急車両などに限定して利用が可能になりました。しかし、下り線で坂本町に戻る際には、約30キロ先の人吉インターチェンジで上り線に折り返さなければならず、不便な状況が続いていました。
13日に坂本町の被災状況を調査した日本共産党の田村貴昭衆院議員は、住民から要望を受け、国土交通省に早急な対応を要請。ネクスコ西日本は同日中に下り線のゲートを開放し、上下線とも利用可能になりました。
市街地への移動時間が大幅に短縮され、住民らは「便利になった」と喜んでいます。一方、市役所の坂本支所をはじめ2カ所ある医療機関や商店、銀行、郵便局が被災し、孤立が解消されても困難な生活が続いています。
土砂 残ったまま 道路に崩落箇所も
4日未明に記録的豪雨に襲われた熊本県八代市坂本町は、球磨川の氾濫で甚大な被害が生じました。道路の両側には大量の土砂が残り、押し流されて横転した自動車も撤去されないままです。
JR坂本駅の近くにある町内で唯一のスーパーマーケット「デイリーショップ本田」も4メートルの高さまで浸水しました。当時、平屋建ての自宅にいた店長の男性(86)は濁流にのまれそうになりながら店舗2階の事務所に逃げ込んだといいます。
男性は現在、八代市街地の親戚の家で寝泊まりし、日中は自宅と店舗の片付けのため車で坂本町に戻っています。国道219号が寸断し、球磨川の対岸から林道を使って行き来していたといいます。坂本パーキングエリア(PA)から九州自動車道につながる代替路が使えるようになり、「これまで1時間半ほどかかっていた移動が30分ほどになりました。ボランティアの人たちにも、どんどん来てもらいたい」と話しています。
九州道への進入路は山間部にある鮎帰(あゆがえり)地区にもあり、17日から緊急車両に限定して通行が可能になっています。
同地区に住む男性(65)は「町内の医療機関が被災したため、八代市街地の病院に通う住民もいます。坂本PAの代替路が使えるようになったのはいいけれど、途中の道路も片側が崩落していて危険です。集落から近い九州道のゲートから行き来できるようにしてほしい」と訴えています。
日本共産党の田村貴昭衆院議員と橋本徳一郎・八代市議は、国土交通省や市の担当課に住民の要望を伝えています。
九州道を管理するネクスコ西日本九州支社の担当者は「具体的な時期は未定ですが、安全性を確保した上での利用が可能か検討しています」としています。(しんぶん赤旗 2020年7月21日)