農林水産省が「高収益作物次期作支援交付金」の要件を突如変更し混乱が広がっている問題で、日本共産党国会議員団は10月29日、運用変更を全て撤回するよう野上浩太郎農水相に申し入れました。紙智子参院議員、田村貴昭、高橋千鶴子の両衆院議員が参加しました。
同交付金は、新型コロナで打撃を受けた野菜や果樹などの農家に、次期作にむけた資材などの購入費用を支援するもの。7月末に1次申請を締め切った後、菅義偉内閣発足後に農水省が制度変更を発表。要件になかった減収証明を要求し、交付額も減収額を上限とするなど大幅変更しました。
申し入れ書は、同交付金の目的は減収補てんでなく農業生産の維持・強化であり、制度の趣旨を根底から覆す変更は、農家の努力に冷水を浴びせ、農政への深刻な不信を招くと指摘。▽運用変更の撤回▽申請者全てに交付できる予算措置▽見直しの経緯・理由などの資料開示―の3点を求めています。
要請で紙氏は、コロナの影響を受けた農家が営農を断念することなく続けられるように始めた交付金だと指摘し、3点の実施を強く要望。田村氏はすでに先行投資した九州の農家の声を紹介。減収分の補てんに制限されると農家に負担が生じてしまうとして、要望の実現を迫りました。
野上農水相は、実情をふまえ何ができるか考えたいと述べつつ、要件変更の撤回には背をむけました。
高橋氏は、本来なら交付金が届いている時期に要件変更で現場は困難を強いられていると述べ、当初の要件通りの交付を重ねて求めました。(しんぶん赤旗2020年10月30日)