現在の種苗法では、育成権者(種・苗の開発者)が農水省に登録した「登録品種」について、購入した種・苗を栽培して得られた種・苗を農家が採取して、翌年の栽培に利用する「自家増殖」が認められています。しかし、11月17日に衆院農林水産委員会で可決された種苗法改定案では、農家登録品種を「自家増殖」するときに育成権者の許諾が必要となり、対価として許諾料を負担する必要が生じます。
農水省は、対象となる登録品種は多くなく、負担増などの影響はないと説明していますが、実際には、広く作付けされている品種が多数あり、農家への影響は避けられません。
日本共産党の田村貴昭衆院議員は17日の農林水産委員会で、農水省が知的財産戦略本部の会合で「自家増殖」を認めていることで「民間の参入が阻害されている」と述べており、「法改定の目的は、農家に種苗を買わせることにある」と指摘。多国籍農業化学企業の上位4位が種苗市場の6割超を占有しており、「今回の改定は、農家の負担を増やし、多国籍企業の侵入を許して食の安全を脅かすことになる」と批判しました。(質問動画はコチラ)
衆議院調査局農林水産調査室の報告によると、コメでは、「ゆめぴりか」などで新たに育成権者の許諾が必要になります。(しんぶん赤旗 2020年11月19日)