九州地方を中心に甚大な被害をもたらした7月豪雨災害から4カ月。被災小規模事業者の再建が思うように進んでいません。日本共産党の田村貴昭衆院議員は、繰り返し現地に入って聞きとった業者の声を政府にぶつけ、支援制度の改善を求めています。
不動産賃貸業の男性(69)は「廃業する話ばかり聞く」と深いため息をつきます。再建を後押しするために何が求められているのか。
特に被害が大きかった熊本県では、施設・設備の復旧費用の4分の3を支援する、なりわい再建補助金の申請が58件にとどまっています。申請が進まない要因の一つに、申請書類の煩雑さがあります。
男性の会社では、申請書類の作成に2カ月を要しました。「備品一つずつに修理不能証明、新旧カタログ、2社見積もりを用意し、そのための業者とのやりとりなど事業所も自宅も被災して不慣れな補助申請作業をするのは難しい。行政が事業所に来て現場を見てほしい」と要望します。
さらに、熊本県では5億円までの定額補助が行われますが、コロナ禍での減収に加え、熊本地震での被災や負債の残存が要件となっており、対象事業者が極めて限られています。
1878年創業の酒造場も、焼酎を仕込む瓶や熟成貯蔵タンクなど200点に及ぶ備品が浸水被害を受け復旧には約10億円が見込まれますが、定額補助の対象になりませんでした。男性(63)は「借金を抱え、再建しても倒産しかねない」と不安な思いを訴えます。
田村議員は11月17日の衆院災害対策特別委員会で、▽行政が事業者のもとに出向いて申請サポートを行う▽定額補助は熊本地震の被害を要件とせずコロナ影響と豪雨災害の二重苦でも対象とする―ことを要求しました。しかし、長坂康正経済産業副大臣は、制度の説明に終始しました。(質問動画はコチラ)
田村議員はいいます。「被災事業者自身が突き当たった壁を示し、具体的に改善を求めている。政府は真剣に受け止めて対応すべきだ」(しんぶん赤旗 2020年11月22日)