諫早・ノリ養殖の赤潮被害 農水省にヒアリング

23日 海苔の危機に対応しない政府を追及 (2) 諫早湾干拓事業によりノリ養殖の赤潮被害が起きている問題で、有明海漁民・市民ネットワークは12月23日、野党議員とともに国会内で農林水産省にヒアリングを行い、署名を提出しました。
 
 佐賀県西部の大浦、太良の漁場では今年、深刻なノリの不作が広がっており、収穫、入札に出品すらできない状況です。現地から漁民がズームで参加し、「25年養殖してきたが、秋ノリで一枚も取れないのは初めて。栄養塩不足で冷凍網を張り込めない。収入がゼロになるかもしれない。西南漁業者は借金返済して廃業できればよい方で、夜逃げか自己破産しかない」と次つぎと窮状を訴えました。有明海漁民・市民ネットワークの菅波完事務局長は「ノリだけでなく、タイラギなど他の魚類も育たない。有明湾は今の水質では回復する見込みは無く、水門をあけて調査してほしい」と要望しました。
 
 有明海・八代海再生特別措置法22条は、赤潮等により著しい漁業被害が発生した場合、漁業被害の損失補填(ほてん)を講ずるよう努めなければならないと規定されており、この条項の発動が求められます。しかし、同条項の発動要件は明確でなく、農水省は「共済、積み立てプラスで対応している」と繰り返すのみでした。
 
 有明訴訟弁護団の堀良一氏は、「長年不作が続き共済による補償には限度がある。国は和解協議にむけて、それぞれ知恵を出し合う場を調整してほしい」と求めました。
 
 立憲民主党の大串博志衆院議員は、「特措法の立法過程に関わったが、立法者の意思として22条のいう損失補填は、共済でよしとしているわけではない」と指摘。日本共産党の田村貴昭衆院議員は、「今回の非常事態は共済では救われない。特措法を発動して減収補填すると、国は漁民にメッセージを伝えてほしい」と述べました。
 
 共産党の紙智子参院議員、立民の原口一博衆院議員、古賀之士参院議員も出席しました。(しんぶん赤旗 2021年12月27日)