農民運動全国連合会(農民連)は11月10日、農業資材などの高騰で深刻な打撃を受けている畜産・酪農の危機打開のための支援を農林水産省に要請しました。
全国の畜産農家から寄せられた「畜産経営を継続するための緊急要望書」や現場の声を届け、(1)従来の枠組みにとらわれない抜本的支援、コスト上昇分の全額補填(ほてん)(2)コスト上昇分の価格転嫁が進むよう国がメーカーなど実需者に働きかける―ことを求めています。
農民連の長谷川敏郎会長は「経営を継続できるかどうかという局面だ。農家の生の声を受け止めて抜本的な対策を」と述べました。
千葉県睦沢町で酪農を営む男性(71)は「貯金を崩して続けている。町にあった3酪農家のうち残るのは私たちだけだ。深刻な事態だ」と訴えました。
農水省は直接補填を拒否し、要望にかみ合わない回答に終始しました。
笹渡義夫副会長は「ついこの間までやっていた農家が廃業している。このままでは日本から畜産・酪農の火が消えてしまう」と批判。沖津由子副会長は「セリ市場で売れなかった子牛を安楽死させている農家の気持ちが分からないのか」と語りました。
日本共産党の田村貴昭衆院議員が同席。「政府は“食料安全保障”と言うが、生産基盤は崩れている。現実を見て新たな対策を」と述べました。(しんぶん赤旗 2022年11月11日)