平和大会―シンポ・分科会 「戦争国家」づくりノー

 2023年日本平和大会は11月12日、八つの分科会を開き、米国を中心とした軍事同盟強化や岸田政権の大軍拡・「戦争国家」づくりに反対するたたかい、若者や多くの国民に運動を広げる活動や平和な世界と日本の未来を開く展望を語り合いました。
 
岸田軍拡政権を退陣に
 
A05AE9D0-A61B-4D0F-82EE-46FDFC446EE4 第3分科会「軍事費削って暮らし、医療、教育に」では、各地域や分野の活動を交流し、政治を変える運動をさらに発展させようと語りあいました。
 
 日本共産党の田村貴昭衆院議員が「憲法まもれ! 大軍拡、戦争する国づくりを許さない」と題して講演しました。岸田内閣の支持率が過去最低を更新しており、国民は軍拡増税を見抜いていると指摘。財務省が軍拡予算を確保するために中小企業対策費などを削減してきたと認めていると告発しました。
 
 憲法違反の敵基地攻撃能力保有を批判し「『戦争する国』にならないために運動と世論を広げ、暴走する岸田政権を退陣に追い込もう」と呼びかけました。
 
 鹿児島県商工団体連合会の代表は、インボイス(適格請求書)導入で現場が混乱しているとのべ「中小業者が重い税負担に苦しむ一方で軍事費増。岸田政権はどこを向いて政治をしているのか」と訴えました。鹿児島県医労連の代表は、看護職員がぎりぎりの人員で、低賃金で働いていると告発し、軍事費倍増の財源があれば教育や年金、医療などに使えると語りました。
 
 活動交流で、鹿児島の9条医療者の会の代表は、3団体で「医療者アクション」をつくり街頭宣伝やシンポジウムを行っていると紹介。高知の嶺北平和委員会の代表は、米軍機の低空飛行で保育所の子どもたちがおびえていると語り、トマホークを1発購入するお金で保育所が二つできると署名活動を広げていると話しました。
 
若い世代に運動継ごう
 
 第1分科会「『戦争国家』づくりの大軍拡に反対する運動」では、米軍・自衛隊基地強化や日米合同演習反対のたたかい、若い世代に活動を広げる取り組みなどを交流しました。
 
 講演した石川康宏・神戸女学院大学名誉教授は、岸田政権の大軍拡は、安保法制の下で、実際に戦争をする兵器や人員を集めるもので、「敵基地攻撃」能力は、米軍の下請けで戦争に巻き込まれることだと指摘。長距離ミサイルの配備は北朝鮮、中国との緊張を高め、戦争になれば日本全体が反撃対象になり「敵も味方も焼け野原になる」と批判しました。
 
 東アジアでベトナム戦争後、戦争死者がほとんどないと述べ、東南アジア諸国連合(ASEAN)が戦争をせず、紛争を話し合いで解決する努力を進めていることを強調。「この呼びかけに応え、9条を守り生かし行動することで、平和が守られる」と訴えました。
 
 各地から「南西諸島に軍備を運搬する海上輸送群の司令部を呉に置こうとしている」(広島)、「岡山空港での空自戦闘機の訓練に反対し抗議のスタンディングを行う」(岡山)と基地・演習強化反対のたたかい、「若い人を広島、長崎、沖縄に送り、子や孫に広げようと取り組んでいる」(愛知)など取り組みを交流しました。
 
 全労連の小畑雅子議長が閉会あいさつし、「たいへんなことが起こっていることを、一人ひとりの問題として事実として持つことができ、運動を進める確信を持つことができた」と語りました。
 
基地増強阻む行動交流
 
 第2分科会「大軍拡路線反対と結んだ全国の基地闘争の交流」では、安保3文書閣議決定から1年を迎える中、各地で進められている基地増強の実態と、現場のたたかいを報告・交流しました。
 
 安保破棄中央実行委員会の東森英男事務局長が、岸田政権の「戦争国家」へ向かう大軍拡と基地強靭(きょうじん)化、弾薬庫の新増設による住民被害を告発するたたかいが重要だと強調。「岸田政権が行き詰まる中、私たちが地道に続けてきた大軍拡・大増税ノーの運動を全面展開していこう」と提起しました。
 
 北海道・矢臼別、神奈川、山口・岩国の参加者がたたかいを報告。横浜平和委員会の飛田久男事務局長は、横浜ノースドックへの揚陸艇部隊配備に反対し、署名活動や113回の学習会を開催したことなどを語りました。
 
 沖縄革新懇代表世話人の仲山忠克弁護士が辺野古埋め立て反対のたたかいを報告。「基地問題は国家権力を相手にするたたかい。基地闘争を通じてこの国の根本的あり方を変えていく必要がある」「沖縄県民は決してあきらめず粘り強くたたかい続ける」と支援を呼びかけました。宮古島、石垣島のミサイル基地建設について、オンラインとビデオメッセージで報告されました。
 
 安保破棄東京実行委員会の岸本正人事務局長は、横田基地の米空軍特殊作戦機CV22オスプレイが頻繁に緊急着陸し、夜間の離着陸や住宅近くでホバリング訓練を繰り返し、住民の安全が脅かされていると報告しました。(しんぶん赤旗 2023年11月14日)