マゲシカ確認 本紙が撮影 馬毛島基地建設進む中、ひっそり 生息域侵され絶滅の恐れ

基地タンク軍の下で草をはむマゲシカ 赤旗3月7日 米空母艦載機離着陸訓練(FCLP)のための自衛隊基地建設が急ピッチに進む馬毛島(鹿児島県西之表市)で、本紙は2月24日の午後3時ごろ、工事の影響で絶滅が危惧されているマゲシカを撮影しました。小池晃書記局長、田村貴昭衆院議員が視察に訪れた時に撮られたものです。昨年1月の着工以降では初めてで、専門家は「生育環境が悪化しており、相当数が死ぬ可能性がある」と警鐘を鳴らしました。
 
 マゲシカが確認されたのは、島北部の海岸2カ所で計14頭。このうち、燃料タンク下の斜面でわずかな草を食べる3頭の姿が確認できました。マゲシカは環境省レッドリストで「馬毛島のニホンジカ」として絶滅の恐れのある地域個体群に指定。住民からも保全を求める声が上がっています。
 
 マゲシカを長年研究してきた立澤史郎・北海道大特任助教は、確認されたマゲシカのほとんどがメスだったとして、「(島北部は)北西季節風が吹きつけ、最も環境が悪い。通常なら行き場のない若いオスが集まり、死亡率が高い場所だ。本来なら内陸部に生息しているはずのメスが入り込むのはよほどエサがないのだろう」と語りました。
 
 また、芝がなくなり土が表出したり、低木が枯れたりしているのが確認できると指摘。「隠れ場所もエサもない状態だ。ここはマゲシカの生息域として残されるはずの区域だが、工事で直接手を入れなくても環境が悪化している可能性が高い」と危惧しています。(しんぶん赤旗 2024年3月7日)