北九州市門司区の市の複合公共施設建設予定地で初代門司港駅(旧門司駅)遺構が出土し、市が記録保存のみで取り壊そうとしている問題で、日本共産党の田村貴昭衆院議員は6月28日、文化庁と文部科学省の担当者とオンラインで交渉をしました。国連ユネスコの諮問機関イコモスが25日、遺構保全を求める声明を出したことをふまえ、党市議団と共に国としての対応を求めました。
声明は、遺構が国内・国際的に重要なものだとし、保存を優先するよう要請。破壊への懸念が十分考慮されない場合、「ヘリテージアラート」と呼ばれる国際的な警告を発出するというもの。
警告が出されれば明治神宮外苑、高輪築堤に続き3年連続となります。田村氏は、「国際機関の会長声明。重く受け止めるべきだ」と強調しました。
国の担当者は埋蔵文化財の保護は自治体業務にあたり、国指定史跡でも無く市からの相談もないうちは対応していないと説明。門司区選出の高橋都市議は「壊されてしまえばあとで調査というわけにはいかない。徹底的に調査し価値づけするよう国として市に言うべきだ」と訴えました。
参加した市議から「全国でまん延する『開発行政』へのアラートだ」「遺構を守るべき文化財保護審議会や教育委員会が機能していない」と意見が出され、国の担当者が「開発から逃れて史跡として保存される例は非常にまれで本当に残念だ」と打ち明ける場面も。
田村氏は、遺構は九州北部の世界遺産「明治日本の産業革命遺産」と不可分のものと指摘し、現状保存を求める市民の声にも言及。「国史跡に匹敵する遺構が出てきているのに、自治事務だと国が何もしないということにはならないのではないか」と訴えました。(しんぶん赤旗 2024年6月29日