北九州市の旧門司駅遺構 工事中断し協議を イコモスが警告文 共産党は現地保存主張

旧門司駅の遺構(右)=北九州市門司区 北九州市門司区の複合公共施設建設予定地で見つかった明治時代の旧門司駅遺構を市が取り壊そうとしている問題で、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関、イコモス(国際記念物遺跡会議)は9月4日、建設工事の中断などを求める警告文(ヘリテージ・アラート)を出しました。
 
 警告文は遺構保全を求めるイコモスの声明(6月)に加え、破壊への懸念が十分考慮されていないとして発出されたもの。重要な歴史的価値を持つ遺構に多数の学会や市民団体から保存要望が提出されたにもかかわらず、市は公共施設の建設計画を進め、遺跡の保存を怠っていると指摘。「遺跡が直面する差し迫った不可逆的な脅威に注意を喚起する」「日本と世界にとって重要な文化遺産を市が軽視していることを深く遺憾に思い、失望している」としています。
 
 市当局に対し、進行中の開発事前発掘調査と公共施設建設をいったん中断し、市民や専門家などと開かれた対話を行って遺跡の保存について協議すること、JR九州に対しては遺跡の範囲内の工事を中断し見直すことなどを要請しました。
 
image2 この問題で日本共産党は宮本岳志、田村貴昭両衆院議員が市議団とともに現地調査。政府交渉でイコモスの声明を重く受け止めるよう要望してきました。
 
 市議会会派として唯一、遺構の現地保存を求めてきた党市議団の荒川徹団長は「市はイコモスの警告を受け、まずは工事を止めるべきだ。現地保存を求める専門家や学術団体、住民の声も踏まえ、計画を全面的に見直さないといけない」とコメント。東京の高輪築堤、明治神宮外苑に次ぐ3年連続の警告が「これまでの市政の方向を転換するチャンス。現地保存に向け真剣に取り組むことが求められる」と話しています。(しんぶん赤旗 2024年9月5日)