脱炭素社会をめざす企業グループの「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」は12月3日、東京都内で緊急会見を開きました。2035年までに温室効果ガス排出量を13年と比べて75%以上削減するなどの提言を示し、政府が低い目標値で結論を出そうとしていることに危機感を表しました。
JCLPが求める13年比75%の削減は、産業革命前からの平均気温の上昇を1・5度以内に抑えるために必要な値として国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示すものです。政府はそれより低い60%の目標値を軸に検討することを、エネルギー政策を決める審議会に持ち出しています。
審議会は温室効果ガスを大量に排出する鉄鋼や電力の関係者が委員の多くを占めています。JCLP事務局長の松尾雄介さんは「委員に気候科学者などがおらず、温室効果ガスの排出産業が意思決定をしている。若い世代や日本全体にとって不幸なことだ」と指摘しました。
生業(なりわい)で影響を受ける各分野の人が実情を訴えました。JCLP代表で準大手ゼネコン「戸田建設」会長の井上能孝さんは、建設現場でファン付き作業服を着ても効果が出ないほど気温が上がっているとし、夏季の作業が止まることが経済に影響すると述べました。漁獲量の激減や農作物の品質悪化、スキー場運営を経済基盤とする地域の被害や子どもの健康への影響について報告されました。
超党派カーボンニュートラルを実現する会から、日本共産党の田村貴昭衆院議員が参加しました。(しんぶん赤旗 2024年12月4日)