今国会で、石破政権は医療費が高額になった場合に窓口自己負担を抑える高額療養費制度の改悪を狙っています。患者・家族にとっての「命綱」を巡る、議論を追いました。
田村貴昭議員、首相を追及
「一切の引き上げを認めないなら、どうやって制度を続けるのか議論しなければならない」―。4日の衆院予算委員会で石破首相は、多くのがん患者らの負担引き上げへの不安の声を代弁した日本共産党の田村貴昭衆院議員の質問に対し、こう答弁しました。政府は、改悪について、現役世代の保険料を軽減するためと説明しますが、加入者1人当たりの保険料軽減額は、わずか月92~417円。労使折半後は半額の月46~208円にとどまることが明らかとなっています。(質問動画はコチラ)
他方、同制度の改悪によって影響を受ける受給者数は年795万人(外来特例を除く)に上ることが、田村氏の試算で明らかになっています。
田村氏は4日の衆院予算委で、制度の改悪により「国民の15人に1人が負担増になる」と推計。この内、年間4回以上制度を利用する「多数回該当者」は155万人、国民の80人に1人が負担増になります。「これだけ広範囲な影響を及ぼすのが今度の負担上限額引き上げだ」と政府に迫りました。
また田村氏は、制度見直しにより、がん治療に取り組む非正規の民間労働者(平均年収202万円)の「年収の3分の1が医療費負担に消える」と指摘。政府に対し、「長期療養者の患者の負担は減るどころか増える。引き上げでなく、引き下げこそ必要だ」とただしました。石破氏は、「(負担上限引き上げの)撤回を断定することはしない」と答弁しました。
石破氏はがん患者からの聞き取りが必要だと言いますが、全国がん患者団体連合会(全がん連)が1月17~19日に行った「高額療養費制度の負担上限額引き上げ反対に関するアンケート」(第1次分、3623人)では、回答した患者や医療従事者のほとんどが引き上げに反対しています。「上限引き上げは治療をあきらめる事を選択肢に入れさせる無言の圧力です。撤回してほしいです」(がん患者、50代女性)―など、経済的負担への懸念は多くあります。
田村氏は予算委の中で、患者の生活の質や生存期間を悪化させる「経済毒性」に言及。石破氏に対し、「上限額の引き上げを知り、この瞬間もがん患者は不安にさいなまれ、治療と健康に悪影響を与えている。引き上げは絶対にあってはならない」と求めました。石破氏は、「あらゆる可能性がある」と、引き上げ見直しの含みを持たせました。
予算委での田村氏の追及や、がん患者らの切実な訴えを受け、このほど政府は昨年末にまとめた自己負担上限額の引き上げ案を修正する検討に入りました。検討の中では、多数回該当者の負担を緩和する案が浮上。10日には、厚生労働省も多数回該当の限度額を修正する考えを示しました。しかし、受診回数は個々人で差があります。自公案や厚労省案では、患者間に分断を持ち込みかねません。(しんぶん赤旗 2025年2月13日)