高額医療費制度引き上げ凍結 「世論が政治動かす」体現 | 田村貴昭オフィシャルサイト[日本共産党衆議院議員]

高額医療費制度引き上げ凍結 「世論が政治動かす」体現

 石破政権が執念を燃やしていた高額療養費制度の上限引き上げが事実上、凍結に追い込まれました。国民の命をないがしろにする制度改悪に当事者が反対の声を上げ、日本共産党など野党が国会論戦で追い詰めた結果です。
 
 高額療養費制度は、医療費の自己負担に月額の上限を設ける仕組みです。重い病気にかかると入院や高額な薬剤による多額の出費が強いられるため、同制度はセーフティーネットの役割を発揮してきました。
 
 ところが自公政権は、年収700万円の場合、負担上限額を現行の約8万円から約14万円に引き上げるなど、患者に大負担増をもたらす改悪案を通常国会に提出。また、同制度を直近1年間で3回利用すると4回目以降の負担上限額を引き下げる仕組み(多数回該当)の負担増も狙っていました。
 
 石破茂首相は施政方針演説(1月24日)で「高額療養費制度の見直しなどにより、保険料負担の抑制につなげる」と述べ、今国会での「見直し」強行に執念を燃やしていました。
 
立ち上がる患者
 
 それに対し、がんや難病の患者が「引き上げ」撤回を求めて声をあげました。
 
 全国がん患者団体連合会(全がん連)の天野慎介理事長は本紙(1月27日付)で「現役世代の保険料負担軽減がなされても、現役世代のセーフティーネットも失われてしまいかねません」と政府の欺瞞(ぎまん)を告発しました。
 
 患者がSNSなどで声を上げ、オンライン署名や国会要請行動を展開。地方自治体からも「国家的殺人未遂だ」(丸山達也島根県知事、2月18日)といった厳しい批判の声があがりました。決定的だったのは全がん連の轟浩美理事が3月5日の参院予算委員会に参考人として出席し「命のためにいったん立ち止まり丁寧な審議を」と求めたことでした。
 

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 国会では日本共産党や立憲民主党などの野党が「引き上げ」の凍結・撤回の論戦を展開。共産党の田村貴昭議員は衆院予算委員会(2月4日)で、現制度下でも負担額が患者にとって限界状態にある実態を示し「(上限額の)引き上げではなくて引き下げこそ必要だ」と追及。3月6日の参院予算委でも小池晃書記局長が100億円ほどの予算で手当てできるとし「立ち止まれ」と迫りました。
 
食い止める運動
 
 世論と国会論戦に追い込まれた石破政権は、▽多数回該当の引き上げ中止▽今年8月からの負担上限額引き上げは実施した上で2026年度以降については再検討―と2度の「修正」に追い込まれました。維新の協力で25年度予算案は衆院を通過しましたが、参院の与党内からも「国民の理解が得られていない」(5日、佐藤正久・自民党幹事長代理)と言及するなど危機感が強まっていました。
 
 共産党の田村智子委員長は7日のXに、自民党との密室の政党間駆け引きではなく「国民のみなさんの正当な要求で政治は動く」と投稿し、白紙撤回へ力を合わせようと呼び掛けました。自公維の3党合意は「医療費4兆円削減」も検討対象になっています。それを食い止めるのも世論と運動にかかっています。(しんぶん赤旗 2025年3月8日)