交通事故などにより脳が損傷し、記憶障害などに苦しむ軽度外傷性脳損傷(MTBI)患者・家族会が6月4日、国会内で日本共産党の田村智子委員長に、紙媒体による金融サービスの継続を求める請願署名約1万人分を手渡しました。田村貴昭衆院議員が同席しました。
MTBIやそれに似た症状の高次脳機能障害などで記憶障害を持つ患者は、記憶をとどめておくことが困難です。自身もMTBIの山下いづみ代表は「いつも何かを探している」といい、メモしたものをなくすことも。預金通帳やクレジットカードの明細書などがペーパーレス化になると非常に困るといいます。パソコンでログインするためのパスワードが覚えられないためです。ログインできなければ預金の出し入れができない、クレジットカードの不正引き落としに気付けないなどの危険があります。
山下さんは「手足が灼熱(しゃくねつ)のように熱くなる症状もある」といいます。体調が優れないなかでも、靴が履きつぶれるほど動いて署名をコツコツと集めました。「年配の人は共感して署名をしてくれた」といいます。MTBIだけでなく、認知機能の低下する高齢者のためにも「デジタル化一本になったら困る。アナログも残して選択できるようにしてほしい」と訴えました。
請願は▽高次脳機能障害、MTBIなどによる認知機能の特徴の理解増進▽通帳や保険証書など金融・保険関係における重要な物は、希望者に紙媒体による金融サービスの無料継続―を求めています。(しんぶん赤旗 2025年6月5日)