九州で4カ所に設定されている陸上自衛隊オスプレイ(V22)の低空飛行訓練区域が、九州7県で85カ所に広がる可能性があることが27日、石破茂内閣が決定した答弁書で明らかになりました。答弁書は、日本共産党の田村貴昭衆院議員が16日に提出した質問主意書に答えたものです。
低空飛行区域は、航空法が定める最低安全高度(人口密集地で300メートル、その他の地域で150メートル)以下での飛行が許可された区域です。九州では現在、「大矢野原演習場(熊本県)」や「大野原演習場(長崎県)」など4カ所が陸自オスプレイの訓練区域に設定されています。「昼間」および「夜間」を飛行時間としています。
答弁書は、自衛隊機による低空飛行訓練の可能な区域が、九州7県で計85カ所あると初めて明らかにしました(表)。そのうえで、「陸自オスプレイが、今後、これらの区域で低空飛行訓練を実施する可能性はある」と明言しています。
85カ所には、福岡県では福岡、小倉、久留米や、大分県では別府、熊本県では健軍の各駐屯地など、近隣に住宅地が多い区域も含まれます。
また田村氏は、陸自オスプレイが昨年10月の日米共同統合実動演習で機体損壊事故を起こし、米軍オスプレイも国内外で墜落事故を繰り返していると指摘。「そのうえ低空飛行訓練を行うとなれば、墜落の危険性、騒音・低周波被害が一層拡大することになる」として、政府の認識をただしました。これに対し答弁書は、「周辺環境等への影響を含め、確たることを答える段階にない」と答えました。
陸自のオスプレイは、木更津駐屯地(千葉県)に配備する全17機を、7月9日から佐賀空港西側の隣接地に開設する佐賀駐屯地(佐賀市)へ8月中旬までに順次移駐させる方針です。(しんぶん赤旗 2025年6月29日)