医療の危機的状況の打開に向け、日本共産党の小池晃書記局長らは10月15日、全国医学部長病院長会議の相良(さがら)博典会長と東京都内で懇談しました。物価高や賃上げ、消費税などの負担により深刻な経営状況を共有し、対策について意見交換しました。
小池氏は、大学病院が高度医療や教育、研究の重要な役割を果たしつつ、地域医療を支えていると言及。経営の危機的状況は「日本の医療、医学研究に深刻な影響を与える問題です。実情と今後の政治に対するご意見を伺いたい」と述べました。
相良氏は、病院財政が厳しく、教育・研究にかける費用と時間を削減せざるをえない実態や設備投資ができない現状を訴え。高度医療や臓器移植などの「不採算部門がかなり多いのが大学病院」だと語りました。
同会議が調査した全国81の国公私立大学病院の昨年度の経営状況は、計508億円の赤字になっています。物価高騰により材料費、設備費などが上昇。医薬品費の支出も増加しています。人件費についても賃上げ対応は診療報酬改定分では不足し、1病院当たり約3億円の持ち出しとなっています。消費税の大きな負担も報告されています。
相良氏は、今年度の経営はさらに厳しいといいます。人材の問題では、看護師や薬剤師が給与の高いところに流出していると言及。医師の働き方改革を進めるうえで、医師の増員が必至だとし、そのための財政支援も訴えました。
相良氏は、黒字の病院は設備の更新を先送りするなど「黒字に見えるだけ」だと明かします。一般の医療機関では対応が難しい医療などを行う特定機能病院の役割を維持するための診療報酬改定を要望しました。
小池氏は、大学病院の深刻な実態を改めて認識したとし、「緊急の手だてが必要だ。補正予算での緊急対応はじめ、診療報酬改定で特定機能病院に対する重点的な対応を求めていきたい」と応じました。
日本共産党から田村貴昭衆院議員、吉良よし子、白川容子両参院議員が、同会議から横山直樹事務局長が同席しました。(しんぶん赤旗 2025年10月16日)