熊本市計画 避難所の移転に不安 田村貴昭議員「環境改善こそ急務」

市の担当者(右手前)に避難所の環境改善を要望する田村氏(左から2人目)と党市議団=5月2日、熊本市役所 熊本市は5月2日、熊本地震で5960人(1日現在)が避難している市内188カ所の避難所を18カ所の拠点避難所に移転・集約する計画を打ち出しました。避難者からは「まだ家の片付けも終わっていないのに、有無を言わさず出て行けということか」という声が上がっています。

 

 市の職員が中央区の避難所で配布した文書によると、2日から実施している意向調査の結果を踏まえ、「避難者の皆様に大規模施設へ移転をしていただき、市の職員が集中的に支援できる体制を整える」としています。

 

 1日現在も2231人が避難している東区では、区内54カ所の避難所を2カ所に集約する予定で、生活圏が異なる地域の避難所への移転を余儀なくされるおそれがあります。

 

 8日の開設を目指す拠点避難所では、間仕切りによるプライバシー確保や段ボールで作ったベッドを設置するなどの環境改善を図り、最大約3700人を収容します。多くの避難者が畳や間仕切りもない避難所で不自由な生活を強いられている状況を放置したまま「拠点避難所への移動」を求めています。

 

 日本共産党の田村貴昭衆院議員と党熊本市議団(3人)は同日、市の担当者に対し「移転・集約を進めるのではなく、政府の指針に沿って一刻も早く各避難所の環境改善に取り組むべきだ」と指摘しました。

 

 市の担当者は「避難者の希望に応じて現在の避難所に残ることはできる」と説明しましたが、一部の避難所では8日までの立ち退きを迫っています。

 

 上野美恵子市議団長は「避難所の閉鎖や避難者の追い出しともとれる表現については、ただちに訂正すべきです。多くの避難所では栄養バランスを考慮した温かい食事の提供もままならず、生活環境の改善は急務です」と要望しました。

(しんぶん赤旗 2016年5月3日)