水俣病犠牲者を追悼 公式確認60年も解決遠く
水俣病は、加害企業チッソが有機水銀を含む工場排水を海に垂れ流し、住民が汚染された魚介類を多食したことによって健康被害の起きた「公害の原点」といわれています。
多くの被害者が地域や出生年月による線引きなどで切り捨てられ、救済されないままになっています。現在も行政認定を申請中の人は2000人を超え、「ノーモアミナマタ第2次訴訟」の原告には1224人(熊本)が名を連ねるなど、60年たっても水俣病は全く解決していないのが現状です。
4月の熊本地震で、公式確認の5月1日開催が半年延期された今年の式典は、患者団体の代表らによる「慰霊碑」への献水、参列者の黙とうと献花が行われました。患者・遺族代表の大矢ミツコさん(90)は、38歳の若さで夫が水俣病に侵され亡くなったことを涙ながらに振り返り、「チッソが憎らしかった。私たちと同じような苦しみは誰にもしてほしくない」と訴えました。
山本公一環境相は、国の責任について「衷心からのお詫(わ)びを申し上げる」とのべましたが、救済されていない多数の被害者の存在にはふれませんでした。
日本共産党の仁比聡平、武田良介両参院議員、田村貴昭衆院議員が参列・献花しました。(しんぶん赤旗 2016年10月30日)