データねつ造や公文書の改ざんが相次ぐ安倍政権の下で、4月には、政府提出の森林経営管理法案の説明資料でも「ねつ造」が行われていたことが明らかになりました。法案や政策の根拠となるデータを、行政府がねつ造するという異常事態の背景にはいったい何があるのか―――。
森林経営管理法案では、林野庁が、森林所有者から経営管理権をとりあげる同法案を正当化するために、法案説明資料に「84%の森林所有者は経営意欲が低い」などといったデータを掲載していました。しかし、日本共産党の田村貴昭衆院議員の指摘で、林野庁が調査結果を恣意(しい)的に解釈し、データをでっちあげていたことが判明。同庁は24日、田村議員に資料の「修正」報告を行い、ねつ造を事実上認めました。
財界が要求
同法案は、安倍政権の成長戦略「未来投資戦略2017」や安倍晋三首相の私的諮問機関である規制改革推進会議の提言を具体化し、大手木材産業の利益の確保を優先するもの。経営者・財界の要求に沿い、トップダウンで規制緩和をすすめる安倍政権の政策の一環です。
官僚人事に対しても強い影響力を持つ安倍首相の主導で、「結果ありき」で進んだため、なんとか「根拠」をつくりだそうと、ねつ造に走ったのではないか―。こんな構図が浮かび上がってきます。
安倍首相が掲げる今国会の目玉法案、「働き方改革」一括法案でも同様の構図が見られました。
労働者無視
「岩盤規制に穴を開けるには、内閣総理大臣が先頭に立たなければ」―。安倍首相は1月29日の衆院予算委員会でこう主張した後、裁量労働制の労働時間は一般よりも短いという厚生労働省の調査を紹介しました。ところが、以前から厚労省が労働時間データを恣意的に加工し比較していたことが発覚。他のデータからも300カ所以上の異常値が見つかり、データ撤回と法案からの裁量労働制拡大の削除に追い込まれました。
安倍政権は、労働者代表が一人もいない産業競争力会議、規制改革会議で裁量労働制の拡大を決定。経営者側の要求にだけ耳を傾けトップダウンで労働分野の規制緩和を推進してきました。
こうした安倍政権の強権的な姿勢が、ねつ造など一連の問題の背景にあることは明らかです。(しんぶん赤旗 2018年5月6日)