73回の「原爆の日」を迎えた長崎市で8月9日、市主催の平和式典が平和公園で開かれ、被爆者とその遺族、市民らが参列し、11時2分に黙とう。田上富久市長が、日本政府に「核兵器禁止条約に賛同し、世界を非核化に導く道義的責任を果たすことを求める」とした「長崎平和宣言」を読み上げました。国連のアントニオ・グテレス事務総長があいさつし、「被爆者代表 平和への誓い」は田中熙巳(てるみ)さんが務めました。日本共産党の市田忠義副委員長、田村貴昭、本村伸子の両衆院議員、紙智子、仁比聡平、井上哲士の各参院議員、真島省三前衆院議員ら党代表団が出席し、市田氏が献花しました。原水爆禁止2018年世界大会・ナガサキデー集会では、禁止条約発効の促進などを求める「長崎からの手紙」(決議)を採択しました。
国連総長あいさつ
長崎市主催の平和式典には、被爆者や遺族、市民など5200人が参列し、献花や献水を行い、犠牲者を追悼。原爆投下時刻の午前11時2分に黙とうしました。
田上富久市長は「平和宣言」で、「核兵器を持つ国々と核の傘に依存している国々のリーダーに訴えます。核兵器に頼らない安全保障政策に転換することを強く求めます」「日本政府には、唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約に賛同し、世界を非核化に導く人道的責任を果たすことを求めます」と述べました。
「被爆者代表」として「平和の誓い」をした田中熙巳さん(日本原水爆被害者団体協議会代表委員)は、禁止条約に署名・批准しない日本政府を批判。「ヒバクシャ署名運動を発展させ、禁止条約を発効させ、核兵器も戦争もない世界の実現へ力を尽くす」と述べると、会場からひときわ大きな拍手が長く続きました。
国連のアントニオ・グテレス事務総長があいさつし、核兵器禁止条約の採択は停滞する軍縮への不満の表れだとし、「長崎を核兵器の惨害を受けた地球上で最後の場所にするよう決意し、みなさんとともに努力します」と語りました。
安倍晋三首相は、核兵器禁止条約には一切ふれず、「核兵器国と非核兵器国の橋渡しにつとめる」との主張を繰り返し、禁止条約に背を向けました。
式典には71カ国の政府代表などが参列しました。この1年間で亡くなった被爆者は3511人、原爆死没者はあわせて17万9226人となりました。(しんぶん赤旗 2018年8月10日)