「公害の原点」とされ公式確認から63年が経過した水俣病の「犠牲者慰霊式」が10月19日、熊本県水俣市で開かれました。患者団体でつくる実行委員会と水俣市の主催。遺族や被害者ら約800人が出席しました。
水俣病で夫と娘を相次いで失い、自らも認定患者の上野エイ子さん(91)が患者・遺族を代表して「祈りの言葉」を述べました。
上野さんは、わずか2歳で生涯を閉じた胎児性患者の娘への思いを「一度でいいから『母ちゃん』と呼んでほしかった」と言葉を詰まらせ訴え。家族との別れ病気とのたたかい差別や偏見にも耐えて「絶望の淵をさまよいながらも前へ前へとすすんできました」と語り「これまでに犠牲になった多くの命を無駄にしないで。自然を大切(環境破壊は止め)にすると約束してほしい」と結びました。
日本共産党の市田忠義副委員長、伊藤岳参院議員、田村貴昭衆院議員、高岡朱美、平岡朱の両水俣市議が参列し献花しました。
式後、患者団体は小泉進次郎環境相と懇談し、国としてすべての被害者救済に向けての手だてを尽くすよう求めました。
水俣病をめぐっては、残されたすべての水俣病被害者の救済を求めて裁判をたたかう「ノーモア・ミナマタ第2次熊本訴訟」がたたかわれ、18日には29回の口頭弁論が行われました。(しんぶん赤旗 2019年10月20日)