赤旗「水曜随想」 軍事費倍増より卵を/衆議院議員 田村貴昭

田村貴昭 背景無し② 冷蔵庫を開けたら卵がない。そうか、昨夜コンビニで買おうとして、6個200円超えの価格に二の足を踏んだのだった。店員さんに聞けば、「品種を変えて対応。それでも入荷制限がかかっている」と。
 
 一方、養鶏農家は飼料の値上げと鳥インフルエンザの拡大で、厳しい経営を迫られている。輸入依存、不十分な飼料高騰対策、経営規模拡大の押しつけ…卵一個から農政の問題が見えてくる。この折に“卵特価”などと聞くと、採算はとれているのかと心底心配になる。
 
 「この一年で450円くらいのコンビニのお弁当が、500円を超す水準にまで値上がりしたなと実感している」。日銀の総裁候補、植田和男氏が国会で私の質問に答えた。昨年、今の総裁が「家計の値上げ許容度も高まってきている」と発言し、国民から大きな批判を受けたことから聞いてみた。直後に「そのコンビニ弁当も高くて食べられない」との声が寄せられた。庶民の悲鳴が聞こえたなら、円安を招き、物価高に拍車を掛けている金融緩和政策を見直すべきではないか。
 
 ものの値段で思い出したのは、自民党の麻生太郎氏が首相時代、カップラーメンは「400円くらい」と答弁したこと。食べているものも吸っている空気も庶民とは違うんだと思った。
 
 鈴木俊一財務大臣は昨年の会見で、食料品などの相次ぐ値上げに「実際、買い物はしていない」。だからか、消費税減税やインボイス中止の国民要求を一顧だにしないのは。財務大臣なら、やはり市場やスーパーに出かけないと。商品を見比べ、値札をじっと見つめる人々の気持ちをじかにつかまねば。軍事費倍増している場合ではないでしょ。
 
 次の質問でどう攻めていくか…。とりあえず卵を買ってこよう。値段を見て、卵を食べて、じっくり考えよう。(しんぶん赤旗 2023年3月1日)