猛毒の枯葉剤の成分「2・4・5T剤」(2・4・5トリクロロフェノキシ酢酸)が全国の山林に埋まっている問題で、林野庁が掘削・撤去を念頭に調査を開始したことが分かりました。日本共産党の田村貴昭衆院議員の求めに応じたもので、全国46カ所のうち、今年度中にまず4カ所で現地調査や掘削方法の検討をするとしています。
「2・4・5T剤」は、猛毒のダイオキシンを含む化学物質。ベトナム戦争で米軍が広範囲に散布した枯れ葉剤の原料として知られ、散布地ではがんや流産、皮膚疾患、先天性障害などが異常な頻度で発生しています。各地の営林署がスギ造林のため雑草を枯らす農薬として使用していましたが、1971年に使用が禁止され、林野庁の指示で全国の国有林に埋設されています。
田村氏は2018年12月5日の衆院農林水産委員会(動画はコチラ)で、地震や豪雨災害による流出の危険性を指摘。抜本的対策を要求しました。林野庁は「地中で保全管理することが適切」として拒否しました。しかし、20年の熊本豪雨の際、熊本県芦北町の埋設地近くで土砂崩れが発生し田村氏の指摘が差し迫ったリスクであることが明らかに。処理に向けて動き出すことになりました。
取り出した2・4・5T剤は高温で焼却・溶融することで処理できますが、掘削・取り出しの際に中身が流出・飛散する可能性があります。林野庁は安全な掘削の工法を検討するため、岐阜県、高知県、佐賀県、熊本県の4カ所を抽出して調査し、全国のモデルケースとする構えです。(しんぶん赤旗 2022年1月31日)