4月の低温 ナシ・リンゴなど霜害 農家 資材高のダブルパンチ

Screenshot 2023-07-22 at 11-42-20 しんぶん赤旗電子版     今日の紙面 今年4月の断続的な低温でナシやリンゴなどの果樹に各地で霜の被害が発生しました。長野県では被害額が23億円超に。加えて、農薬や肥料などの農業資材価格が高騰し、農家に追い打ちをかけています。
 
 長野市周辺では普段なら7月中旬ごろにナシ園で間引き作業をしています。しかし、霜害を受けたナシ園では果樹に実が付いておらず、葉が生い茂っているだけの光景が広がっていました。
 
 農民運動長野県連合会の菊地信行副会長は、「ちょうど花が満開の時に霜にやられてしまった」と説明します。
 
 長野県では4月の最低気温が氷点下を記録する地域もありました。果樹の開花時期と重なり、花が枯れるなどの被害を受けました。
 
 経営するリンゴ園が被害を受けた信州北部農民組合豊野町支部の野黒正則会長は「仕事をする元気がでない」ほどショックを受けたといいます。
 

巨額の被害額

 
 実をほとんど付けていない木もあれば、遅咲きで実を付けた木もあるといいます。ただ、遅咲きの実は、形や色が悪い上に大きくなりにくいとも。「出来が良ければ1キロ300円の値段が、1円になる可能性もある。被害額は分からない」と肩を落とします。
 
 県農政部によると、霜害は40市町村で起き、被害額は約23億3000万円に上りました。果樹は、リンゴ、ブドウ、ナシ、モモなど計12品目です。
 
 他県でも同様の被害が出ています。福島県の被害額は約4億4000万円。岩手県は被害状況を取りまとめ中だといいます。
 
 霜害に加えて農家を苦しめているのが資材の高騰です。農林水産省が出した今年5月の農業生産資材価格指数は、前年同月比で7・1%上昇しました。そのうち農薬が10・4%、肥料が37・8%とそれぞれ上昇しています。
 

行政の支援を

 
 野黒さんの農薬・肥料代は合わせて年間約100万円です。菊地さんによれば、地域の平均的な果樹農家の農薬代は、年間200万円かかるといいます。「被害にあった農家は収入が見込めないのに、農薬代などの果樹の管理費がかかっている。行政の支援が必要です」と菊地さん。
 
 災害などで収入が減った場合、農業保険法に基づく収入保険に加入していればある程度補てんはされます。ただ、帳簿や書類などの負担が多い青色申告が加入条件です。菊地さんは「このあたりでは、青色申告の農家はほとんどいない」といいます。
 
 日本共産党の山口典久県議は、6月の県議会本会議で霜害を取り上げ「農家は大きな打撃を受けている。これまで以上の支援が必要だ」と求めました。
 

収入保険加入の条件緩和必要

 
無題 日本共産党の田村貴昭衆院議員の話
 
 国は農家に収入保険の加入を勧めてきました。しかし、条件が厳しく加入できない農家がいます。これでは災害のたびに離農者が増えます。加入条件の緩和が必要です。また、資材高騰対策で国の制度は生産費を支えるものになっておらず、不十分です。自治体がカバーしている状況もあり、支援に格差がでています。国会を通じて改善を進めていきます。(しんぶん赤旗 2023年7月22日)