生活保護利用者が保護基準引き下げは憲法25条違反だとして基準額の減額処分取り消しを求めた訴訟で、福岡高裁の原告勝利判決(29日)を受け、「いのちのとりで裁判全国アクション」は1月31日、国会内で判決の意義を学ぶ集会を開催しました。日本共産党の倉林明子副委員長・参院議員と田村貴昭衆院議員が参加しました。
原告のAさんは「生活費は6万円弱。1日2食の生活。栄養失調で病気になった。最高裁で勝訴し、人並みの生活をしたい」と訴えました。
福岡訴訟弁護団の星野圭事務局長は、読み上げられる判決を聞きながら「原告の『勝ったぁ』との声を聞き胸にこみ上げるものがあった」として「当事者の実態を押さえた判決。10年間の実態告発のたたかいが報われた」と語りました。
判決は、国が基準の引き下げ額を算出した「デフレ調整」に対し、利用者世帯の消費実態に合わず不合理だとして違法だと判断。同弁護団の高木健康弁護士は、物価下落率に連動させて基準額を見直す「デフレ調整」は、専門機関による検討を経ずに運用されており、妥当性や根拠がないと批判しました。
全国アクション事務局長の小久保哲郎弁護士はドイツの例などを紹介して当事者・国民が参加し、科学的根拠に基づく基準の算定方法に改めるべきだと指摘。同共同代表の尾藤廣喜弁護士は最高裁での審理に向け、「世論を高める。メディアは問題の所在を広げてほしい」と訴えました。倉林氏は「判決を生かした論戦に取り組む」と決意を述べ、田村氏は福岡県内で生活保護利用者の「塗炭の苦しみを聞いてきた。保護基準の大幅引き上げを徹底して求める」と力を込めました。(しんぶん赤旗 2025年2月1日)