メチル水銀を含んだ工場排水で汚染された魚介類を食べ、手足がしびれる感覚障害などを発症した水俣病と新潟水俣病の被害者団体が2月12日、被害救済をはじめとする問題の全面的な解決に向けて環境省との交渉を行いました。
住民健康調査の手法について環境省が設けた検討会で、被害者の参加がない中で、脳磁計(MEG)や磁気共鳴画像装置(MRI)による検査が「おおむね妥当」との方向性で議論が進められています。
水俣病不知火患者会(熊本県)の元島市朗事務局長は、同検討会について「被害者を排除している」と批判。被害の実態に合った広範な健康調査が必要だとして「環境省がやりたいように議論を進めるというのは、私たちの要求に対して不誠実だ」と抗議しました。
MEGによる検査が苦痛で「負担になる」との意見も出ました。1日に検査できる人数について、環境省の森桂・特殊疾病対策室長は「多くて6人だ」と説明しました。
被害者との協議を尽くすように要望した「水俣病被害市民の会」の山下善寛代表は「過去にどんな問題があったのかも含めて検討するべきで、私たちに『意見を聞きました』と言うだけでは信頼関係ができない」と指摘しました。
野党議員と懇談
同日に開かれた「水俣病被害者とともに歩む国会議員連絡会」(西村智奈美会長)との懇談には、衆参から十数人の野党議員が出席しました。
新潟水俣病阿賀野患者会の皆川栄一副会長は「(国と加害企業に賠償を求めて)裁判をたたかう原告の多くが80歳を超え、私たちに残された時間は少ない」と語り、早期解決に向けた協力を求めました。
日本共産党の田村貴昭衆院議員は「環境委員会などで(被害者団体の)要望に基づく質問をしてきました。政治を前に進めて、水俣病被害の完全救済に向けて頑張りたい」と述べました。(しんぶん赤旗 2025年2月13日)