米空軍横田基地(東京都福生市など)で、在日米軍が定めた規定に違反し、猛毒のポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む変圧器2基が日本国内の業者に引き渡されていたことが分かりました。米国防総省監察官が2023年4月、複数の在日米軍基地を調査し、有害廃棄物の管理・処分状況をまとめた報告書で明らかになりました。
同報告書は今年4月30日付で公表。PCBの不適切な処理について、「日米関係に悪影響を及ぼす可能性があり、健康や環境を損なうおそれがある」と指摘しました。
在日米軍の「日本環境管理基準(JEGS)」は、PCB製品の廃棄は原則として米国防兵站(へいたん)局(DLA)を通じて行うこととし、業者への引き渡しを禁じています。一方、在日米軍司令官が承認した場合、この原則は除外されるという例外規定を設けています。
報告書によれば、横田基地の第374空輸航空団が、必要な承認続きを経ずに変圧器を業者に引き渡し、解体・処分しました。変圧器は1基あたり36トンで、解体に伴い発生したPCB由来の油は103バレル(約1万6480リットル)にのぼります。
PCBが米ぬか油に混入し、深刻な被害をもたらしたカネミ油症事件(1968年)を契機に、日本政府は72年、PCB製造を禁止。PCB保有者は自治体への届け出と速やかな処理がPCB特措法で定められていますが、JEGSにこうした規定はありません。
在日米軍も2002年、「米本土に持ち帰る」と約束しました。しかし、日本共産党の田村貴昭議員の質問に、防衛省が法的根拠もなく米軍のPCBを処理していたことが判明(24年2月28日、衆院予算委)。さらに今回、米軍が日本の国内法を無視し、勝手に処理を行っていた実態も明るみにでました。
共産党の山添拓参院議員と東京都議団は5月29日、横田基地からの有機フッ素化合物(PFAS)流出を含め、PCBのずさんな処理について政府の対応をただしました。(しんぶん赤旗 2025年6月3日)