多くの医療機関が経営困難に陥るもとで全国保険医団体連合会(保団連)が11月20日、緊急財政措置と診療報酬の大幅引き上げを求めて国会前で集会を開きました。全国の医師・歯科医師、野党国会議員ら80人が参加しました。
竹田智雄会長は、政府の審議会などで、診療所は高い利益率が維持されているとし、財界などが診療所の診療報酬引き下げを狙っていることに触れ、「現状と大きな乖離(かいり)がある」と批判。このままでは地域医療がなくなり「保険あって医療なし」の事態に陥ると警鐘を鳴らしました。
全国の医師らが現場の窮状を訴えました。愛知の歯科医師は、知人の医師が人材確保のための賃上げや材料費の高騰などで経営が困難になり、泣く泣く閉院を決めたことに言及。「普通の診療ができる体制を維持できる報酬改定を」と求めました。
神奈川の歯科医師は、関東ブロックの保険医協会会員を対象にした経営調査結果を紹介。昨年度の事業所得が平均で内科は年500万円超、小児科では同800万円超の減益だったとし、「町の医療をこれ以上いじめないでほしい」と訴えました。
埼玉の医師は「(診療報酬の)加算で見せかけだけのプラス改定では意味がない。必要なのは診療報酬本体の引き上げと、患者負担を重くしている政策の方向転換だ」と強調しました。
日本共産党からは小池晃書記局長、田村貴昭衆院議員があいさつしました。
保団連は同日、政府に対し診療報酬の大幅引き上げと緊急財政措置を求めました。財務省には日本共産党の小池晃書記局長、厚生労働省には白川容子参院議員が同席しました。厚労省は仁木博文副大臣、財務省は一松旬主計局次長が応対しました。
小池氏は「病院とともに診療所も地域医療を支えています。すべての医療機関に支援を」と求めました。(しんぶん赤旗 2025年11月21日)