熊本地震の発災から1カ月が過ぎた9月1日、日本共産党熊本県委員会などが被災者の生活と生業(なりわい)を守るための政府交渉を行いました。日本共産党国会議員団からは仁比聡平、白川容子、岩渕友の各参院議員と田村貴昭元衆院議員が同席しました。交渉では、内閣府や総務省、厚生労働省などの担当者と交渉しました。
ホテル避難の被災者が食事を自己負担していることについて、松岡勝党県委員長は「二次避難所にもかかわらず、県が被災者受け入れの募集の際に、自己負担を前提にしている」と指摘。東奈津子党県副委員長・県議候補は、「被災者への食事代の支給を定めた災害救助法に基づき、国の責任で被災者に食事を提供すべきだ」と求めると、政府の担当者は「法的には可能だ」としながらも、「地方自治体が判断すべきだ」と正面から答えませんでした。
支援物資が避難所まで届いていないことに、熊本県商工団体連合会の山本寛幸会長が「自治体職員が疲弊していて配布できていない」と指摘した上で支援体制の見直しを求めました。
担当者は、広域拠点で物資が滞っていることを認め、「避難所に適切に物資を届けられるよう頑張りたい」と話しました。段ボールベッドは5000セットが広域拠点に送られましたが、6割が避難所に送られていないことや、定員超過で段ボールベッドを広げることができなかった避難所があったことを明らかにしました。
通学に影響大
新日本婦人の会熊本県本部の福田由美事務局長は、ペット同伴の避難所利用やスマホを使えない高齢者等の情報格差の解消、一人親や収入が激減した家庭への支援強化などを求めました。
上野美恵子熊本市議は、国が進める学校へのエアコン設置助成について、国が設定する補助単価が安く実情に合わせなければ設置が進まないと指摘。担当者は、補助率を3分の1から半分に引き上げ、来年度は今年度の2倍の予算規模を請求していると述べた上で、物価高騰を踏まえた補助単価になるよう調整したいと述べました。
鉄道の復旧について東氏は、JR鹿児島本線や肥薩おれんじ鉄道が被災し、代行バス輸送があるものの以前より通学に時間がかかると述べ、人によっては30分程度から2時間弱になっていると強調。早期に復旧できるよう支援を求めました。
熊本県建築労働組合の石山誠書記次長は、埼玉県八潮市での陥没事故や、今回の地震では夏場に断水したことを踏まえ、水道管の耐震化を急ぐよう要望しました。
八代市にある日奈久温泉について、山本氏は「温泉は観光だけでなく地元のコミュニティー形成にも重要。家にお風呂がなく温泉に毎日通う人もいる」と述べ、支援を求めました。担当者は、県と連携して旅館の設備復旧を補助すると述べました。田村氏は「被災した観光地の復興支援が始まっても、被災して再建したいと思う観光業者や旅館が先の展望が見えなければ置き去り感がでてしまう。旅館業と観光業は従業員で成り立っており、雇用確保は喫緊の課題だ」と話し、国として方針を示すよう求めました。
産業支援について、熊本民主商工会の松尾正会長は、熊本県が10年で4回もの激甚災害に見舞われていることを示し、金利ゼロで無担保の「ゼロゼロ融資」や融資の返済期間の延長などを求めました。
農業への支援について仁比氏は、発災からの酷暑と水不足で農業の現場は疲弊しており、支援が必要だと強調。橋本徳一郎八代市議は、干拓地の堤防が壊れ、台風や高波で割れた堤体の土や堤防を越えて海水が農地に流入する危険性を示し、対応を求めました。
病院の存続を
被災した国立熊本南病院について白川氏は、職員が被災して避難所から医療支援に派遣されている状況にもかかわらず、病院側は存続を明らかにせず職員向けの説明会で退職するか判断を職員に迫っていることを指摘しました。担当者は、「国立病院機構が職員に配慮しつつ情報発信する」と正面から答えませんでした。
白川氏は、「難病患者を受け入れている熊本南病院を存続させないのはありえない」と強調。東氏は市内で病院存続を求める署名が開始したことを紹介し、病院存続を求めました。
水俣市にあるメチル水銀を埋め立てたエコパークの護岸について、松岡氏が一層の地震対策を求めると環境省の担当者は「どういったことが可能か検討したい」と述べるにとどまりました。(しんぶん赤旗 2026年9月2日)