論戦ハイライト 衆院予算委 田村貴昭議員の質問 政権姿勢 抜本転換迫る


 
 日本共産党の田村貴昭議員は11月28日の衆院予算委員会で、政府が統一協会(世界平和統一家庭連合)の海外での活動に資金を出し、お墨付きを与えていた問題を告発しました。また、物価高騰から国民の暮らしと経営を守るために、賃上げや農政の抜本的転換を迫りました。
 
「海外宣教」にODA
 
 田村 資金返還求めるべきだ
 首相 問題あれば対応考える
 

 
 田村氏は、統一協会の関連団体「世界平和女性連合」がアフリカのセネガルで運営する職業訓練校の新校舎建設に、日本政府が政府開発援助(ODA)として955万円余を無償資金協力していた問題を取り上げました。世界平和女性連合は海外で運営する学校で、統一協会の開祖・文鮮明の自叙伝を配布するなど海外宣教をしていたことが、日本共産党の穀田恵二衆院議員の追及で明らかになっています。
 

 
 田村氏は、セネガルの学校に資金協力をした2015年当時の外相は岸田文雄首相だと指摘し、次のようにただしました。(質問動画はコチラ)
 
田村 反社会的団体に、国民の血税である政府資金を外相として供与した責任をどう認識しているか。
 
首相 旧統一協会と関係がある団体だと把握できていなかった。布教活動等目的外の活動が行われていないか、旧統一協会の活動を促進するかのような誤解を与えていることがないか確認したい。
 
田村 政府として活動にお墨付きを与えたことは重大だ。資金の返還を求めるべきだ。
 
首相 問題がある行動、信用を利用する事態があれば政府として対応を考える。
 
 田村氏は「当時外相だった首相自身にかかわる問題だ。首相の責任で事実関係を徹底調査し、資金の返還請求を行うべきだ」と求めました。
 
物価高で実質所得マイナス
田村 最賃再改定 直接補助を
 
 18日に公表された10月の消費者物価指数の上昇率は3・6%と、40年8カ月ぶりの急激な上昇となった一方、賃金上昇率は1%程度で、実質所得はマイナスが続いています。特に最低賃金は、4月の総合物価指数(最低賃金を決める基準)を受けて、10月に3・3%引き上げられましたが、同月の総合物価指数が4・4%に跳ね上がり、物価高騰が最賃を上回っています。(質問動画はコチラ)
 
田村 最低賃金が実質マイナスになっている。最賃の再改定が必要ではないか。
 
首相 景気動向や物価動向を踏まえ、できる限り早期に全国加重平均が1000円以上になることを目指す。
 

 
 田村氏は、各国では日本をはるかに上回る最低賃金になっていることを指摘。フランスやドイツでは今年すでに3回、最低賃金を引き上げていることも挙げ、「40年ぶりの物価高騰が国民を襲っている。すぐに最賃引き上げの諮問をすべきだ」と述べました。
 
 一方、中小企業は今、コロナ、物価・原材料の高騰、過剰債務という三重苦のなかで賃上げは厳しい状況です。全国の地方審議会では、7府県が賃上げへの直接的支援、10府県が税・社会保険料の減免を求めています。
 
 田村氏は「緊急対策として、すべての企業が賃上げできるように、賃上げに応じて社会保険料を軽減すべきだ。保険料の軽減だけでは賃上げが厳しいところには、直接補助をする『賃上げ助成』を行うべきだ」と述べ、次のようにただしました。
 
田村 今必要なのは、賃上げのための政府からの支援だ。
 
加藤勝信厚生労働相 中小企業の生産性の向上を図る支援をしっかり行っていく。
 

 
 田村氏は、自治体や国で働く非正規職員の賃金引き上げを要求。職種は保育士、給食調理員、看護師など女性が7割以上を占めていることを挙げ、「非正規職員の7割が年収250万円未満だ。非正規職員の時給1500円への引き上げは5000億円程度でできる」と決断を求めました。
 
酪農家激減の危機
田村 飼料高騰分補てんこそ
 

 
 肥料や飼料、資材、燃油などの価格高騰で農業は危機に陥っています。田村氏は、政府は酪農支援のため配合飼料価格安定制度の補てんを行うとしているが、補てんは一部にすぎず、不足分が全部農家にのしかかっていることをパネルを示して告発。「農家は牛乳を搾れば搾るほど赤字という事態になっている。このままでは国内から酪農家が激減する」として、次のようにただしました。(質問動画はコチラ)
 
田村 飼料の高騰分すべてを補てんする緊急措置を今すぐとるべきだ。
 
 野村哲郎農林水産相 酪農経営が非常に厳しいのは十分承知している。補正予算において抑制的な生産と乳製品の長期保管をお願いしている。
 
田村 それで5割が離農し廃業を余儀なくされる、今の状況をどう救済するのか。
 
 田村氏は、政府が死活問題に直面している生産者の声を聞かず直接支援をやらない一方で、「アメリカの言うことだけはよく聞いている」と述べ、その典型が「ミニマムアクセス(MA)米だ」と告発しました。
 

 
 田村氏は、この秋収穫の全国の米の価格が60キロあたり1万~1万1000円程度だったのに、生産費が1万5000円以上と全く採算が取れていないことを指摘。にもかかわらず、政府が77万トンものMA米を輸入し、精米換算で60キロあたり1万5000円程度で国産よりはるかに高値で買っており、しかもその大半は家畜の肥料にまわされて毎年数百億円という巨額の売買差損が発生している実態を告発。「国内では米の生産量を減らせと言っているのに、おかしいではないか」と迫りました。
 
田村 日本の稲作を守るために、交渉してMA米の制度を見直し、やめるべきだ。
 
野村農水相 ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉で全体のパッケージとして決まったもので、中止は極めて困難だ。
 
 田村氏は、輸入依存を転換し「直接支援、補てんをする農政に切り替えるべきだ」と強調しました。(しんぶん赤旗 2022年11月29日)