軍拡財源法案に対する反対討論 田村貴昭衆院議員 衆院本会議

 日本共産党の田村貴昭衆院議員が5月23日の衆院本会議で、軍拡財源法案の採決に先立ち、反対討論を行いました。田村議員の訴え(全文)を紹介します。(動画はコチラ)
 
 


・本会議反対討論

 

2023年5月23日

日本共産党 田村貴昭

 

反対討論に立ち田村貴昭衆院議員=5月23日、衆院本会議  (1) 私は、日本共産党を代表し、軍拡財源法案に反対の討論を行います。
 
 第一に、憲法9条を真っ向からふみにじり、国民の命を危険にさらす大軍拡を断じて認めることはできません。
 
 日本国憲法は、アジア2000万人以上、日本国民300万人以上の犠牲者を出した侵略戦争への痛苦の反省のもとに、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、つくられたものです。
 
 ところが、岸田政権は、歴代政府が建前としてきた専守防衛さえ投げ捨て、敵基地攻撃能力の保有に公然とふみきり、しかも、集団的自衛権の行使としての使用まで可能だとしています。日本が攻撃を受けていないにもかかわらず、他国の紛争に自ら参戦し、相手国の領土を攻撃することが、憲法9条のもとで許されるはずがありません。その結果は、報復攻撃による国土の焦土化であります。
 
 日本の敵基地攻撃能力は、日本が独自に運用するものではありません。アメリカの「統合防空ミサイル防衛」=IAMD計画の一翼を担い、米軍の指揮統制のもとで運用されることになるのは、これまでの日米軍事一体化の実態からすれば明白です。
 
 戦後、アメリカは、先制攻撃戦略を公然と掲げ、国際法違反の侵略戦争を繰り返してきました。
 
 アメリカの戦略につき従い、米軍の矛の役割まで肩代わりし、日本に戦火を呼び込む危険きわまりない大軍拡計画は即刻撤回すべきです。
 
 第二に、大軍拡のために、現在と将来の国民に新たな負担を押し付けることは絶対に認められません。
 
 政府は、今後5年間で軍事費をGDP2%に引き上げ、43兆円もの大軍拡を推し進めようとしていますが、2%の具体的な根拠を示すことはできませんでした。アメリカの2%の軍拡要求に応えるために、国民に新たな負担を押し付けることなど許されるはずがありません。
 
 すでに今年度の対外有償軍事援助=FMSは、前年度の4倍という破格の伸びになっています。400発もの長距離巡航ミサイル・トマホークの大量一括購入、青天井の洋上イージス計画など、米国製兵器の爆買いに国民の税金を湯水のようにつぎ込む政府のアメリカ追従を断じて認めるわけにはいきません。
 
 国立病院機構と地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金を「不要見込み」として軍拡の財源に充てる計画ですが、どちらの機構の病院も老朽化した建物を多く抱えています。看護師の大量離職も起こっています。
 
 施設の改善や医療従事者の待遇改善にこそ使うべきものを、軍事費に流用するなど断じて認められません。
 
 東日本大震災の復興に充てる復興財源特別所得税を、こともあろうに軍事費に転用することに、東北の被災者と被災自治体から批判の声が巻き起こっています。
 
 世論調査では、復興財源の転用に、73%の国民が反対と答えています。防衛増税を支持しないとした国民は80%に上り、その理由で最も多いのは「今以上の税負担に国民が耐えられない」ということです。
 
 国民のくらしを追いつめる大軍拡・大増税はやめるべきです。
 
 軍拡財源のための国債発行について、「未来の世代に対する責任として、取り得ない」と述べていたのは、岸田総理自身です。ところが、決算剰余金の元になった巨額の予備費の原資は赤字国債です。結局、未来の世代に増税を押し付けることになるのは明らかです。
 
 しかも、戦後初めて、軍事費への建設国債の発行にもふみきりました。軍事費を特別扱いし、無期限で予算をプールし活用する「防衛力強化資金」の仕組みは、戦前の「臨時軍事費特別会計」を彷彿とさせるものです。
 
 かつて侵略戦争遂行のために、国の財政と国民生活を破綻させた痛苦の歴史を今こそ思い起こすべきです。
 
 政府がやるべきことは、地域の分断と対立を拡大し、際限のない軍拡競争を招く軍事力強化ではありません。憲法9条を生かし、地域のすべての国を包摂する平和の枠組みを発展させる外交に全力をつくすことを求め、討論を終わります。