病床削減を加速 医療法改定案を可決 共産党など反対 衆院委

 医療機関の病床削減を進める医療法改定案と自民、日本維新の会、立憲民主、国民民主、公明の5党が共同提出した同修正案が11月26日の衆院厚生労働委員会で賛成多数で可決されました。日本共産党、れいわ新選組は両案とも反対しました。
 
 両案は、地域医療構想の見直しや病床削減する医療機関の後押しなど医療体制の縮小を加速するもの。2030年までに電子カルテ普及100%の実現を政府に義務づけました。
 
20251127_2040459 日本共産党の田村貴昭議員は反対討論で、医療機関の経営危機は医療費抑制政策の結果であり、その反省もなく「さらなる社会保障費抑制を進めるのは許されない」と批判。医師偏在対策は、日本の医師数が経済協力開発機構(OECD)平均を大きく下回る中、医師不足を放置したままでは根本的な解決にならず、「医師や医療現場の労働環境改善や医師養成数を大きく増やすことこそ必要だ」と強調しました。田村議員の反対討論はコチラ
 
 現行制度でもすでに、特例を除き地域の基準病床数を上回る増床はできません。ところが、修正案に盛り込まれた病床削減支援事業を進めると、地域の基準病床数がさらに削減されてしまうことになります。
 
 田村氏は質疑で、経営危機が深刻な中、地域に必要な病床まで削減されれば、それに代わる病院新設や病床増設も制度上困難だと追及。修正案を提出した維新の伊東信久議員は、地域の実情を踏まえ行うと述べるにとどまりました。田村氏は、稼働病床数が基準病床数以下の地域にある新潟県立松代病院の病床の廃止を県が表明した事例をあげ、「地域の実情を踏まえるから大丈夫だというのは通用しない」とし、同事業は「医療過疎や医療崩壊を加速させる」と強調しました。質問動画はコチラ
 
 電子カルテなどの医療データの利活用は提供先が民間まで広がり、個人情報の権利強化は行われておらず、「プライバシー侵害のリスクが大きくなる」と指摘。電子カルテの導入費用は高額だが支援策はなく、人口減少地域などの医療機関ほど投資余力が少ないため、費用負担が「医療資源が過少地域の廃業を促進する」と警告しました。(しんぶん赤旗 2025年11月27日)