衆院厚生労働委員会は11月21日、地域医療構想の見直しなどを盛り込んだ医療法改定案についての質疑を行い、日本共産党の田村貴昭議員は、地域医療構想の見直しは公立病院の経営危機とともに、病床削減と介護体制の破壊を進めるものだと批判しました。(質問動画はコチラ)
政府は、入院、外来、在宅医療、介護の連携を推進するために地域医療構想を見直そうとしています。田村氏は、新潟県十日町市の県立松代病院の病床廃止の動きに言及。同病院は2024年3月に県立病院経営強化プランで「地域包括ケアシステムを支える医療機関・地域密着型」と位置づけられ、入院病床維持の役割が示されましたが、県は今年5月、赤字を理由に来年4月に病床を廃止し無床診療所にする方針を発表。入院機能を引き継ぐ十日町病院へのバスは1日1便のみで交通アクセス問題も未解決です。このため松代病院の入院機能存続を求める署名が当該地域の全住民の7割を含む約1万6000人分も集まっています。
同病院のスタッフは地域の保健師やケアマネジャーと緊密に連絡を取り合い、高齢者の病床受け入れや在宅復帰を支援しています。田村氏は同病院の役割は「新たな地域医療構想」が掲げる全患者が医療・介護を受けられる体制の構築そのものだと指摘し、「松代病院のように病床が廃止されるとこの目的は実践できなくなる」と強調しました。
県が同病院の病床廃止を打ち出した理由は赤字の急増ですが、田村氏は、その背景には24年度までの診療報酬改定の抑制があるとし、「病床の廃止回避に向けて、いま手を打たなければ日本全体で大変な事態が生まれる」と追及。上野賢一郎厚労相は、医療介護等支援パッケージを緊急措置し、補正予算でもしっかり対応すると答弁しました。(しんぶん赤旗 2025年11月30日)