○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
きょうは、東京圏の一極集中の是正について御質問をしたいと思います。
実は、先月二十六日それから今月の一日、総務委員会でこの東京圏一極集中問題については取り上げてきたんですけれども、きょうが三回目です。大臣、よろしくお願いします。
資料をお配りさせていただいています。1、2は、住民基本台帳をもとにした東京圏の転出入の推移についてであります。2が一九五四年以降の流れ、1が二〇一一年以降の流れを少し大きくしたものであります。
まち・ひと・しごと創生総合戦略では、東京一極集中の是正として、二〇一三年から、東京圏から地方への転出を年間四万人増加させていく、そして、地方から東京圏への転入を年間六万人減少させる、そして、二〇二〇年時点で東京圏から地方への転出転入を均衡させるというふうにしています。しかし、現実は、東京圏一極集中が加速しているところであります。
せんだって安倍総理に伺ったら、二〇二〇年までに均衡を図るのは難しいのではないかと私は聞いたんですけれども、具体的な回答はありませんでした。それから、牧島政務官にもお尋ねしましたら、地方移住に向けたいろいろな施策についての紹介はございました。それから、目標達成に向けて全力を挙げてまいりたいとの答弁がありました。
端的に石破大臣にお伺いしたいと思います。
政府が掲げた閣議決定、二〇二〇年までに転入転出を均衡させるとした方針、これはかなり難しくなってきたのではないかなというふうに思うんですけれども、大臣はどうお考えになっておられるでしょうか。
○石破国務大臣 それは難しいです。難しいが、できないということは申しません。
つまり、所信でも申し上げましたが、地方創生は計画段階から実行段階に入っていくわけで、自治体によっては、本当に移住者がふえたね、転入がふえたねと言ってくれるところが出てきました。そういうものが拡大していくことによって、少なくともこの東京一極集中の傾向を変えることはできると思っていますし、その目標として、先ほど委員が御指摘の数字があります。
ですから、これは加速度的にこれがどれだけ波及していくかということにかかっているのであって、私どもとして、この目標を変えるつもりは今のところ全くございません。
○田村(貴)委員 大臣は、長期ビジョンと総合戦略の閣議決定に伴って、二〇一四年十二月二十七日に次のコメントを出されておられます。
現状、東京圏に十万人の転入超過があるのに対して、これを二〇二〇年までに均衡させるための地方移住や企業の地方立地の促進などにより、「地方への新しいひとの流れをつくる」、
これは、大事なのは、具体的な数字も挙げて、そして二〇二〇年までとしたところであるわけなんです。
ですから、私はせんだっての委員会でも、二〇一三年、二〇一四年、二〇一五年と、もう東京圏への転入超過が続いている、そうすると、先ほど示したこれを是正させるカーブはむちゃくちゃ厳しくなってくるんじゃないかなというふうにお伺いしました。それから、地方への転出を四万人ふやしていく、それから東京圏への転入を六万人減らしていくというのは、牧島政務官にお尋ねしたら、これはKPIだというふうに言われました。
これは、三カ年連続で是正ができていない、そして東京圏への一極集中が加速化している、そうなったら、このKPIそのものを修正させていく必要があるのではないかなと考えるんですけれども、いかがでしょうか。
○石破国務大臣 先ほどと重複したら恐縮でございますが、KPIと位置づけたものを修正する考えはございません。
それは、去年一年で、地方創生というのは一体何なんだということを、ようやっと多くの方々、自治体に御理解いただいたかということであります。
拡充型、移転型のいろいろな企業移転促進税制というものもだんだんと実績が上がってきておりますし、移住についてのCCRCにつきましては、この国会で地域再生法の御審議をいただいて初めて法律としてできるものであり、それから実効性を確実なものとすべく、これから先、努力をしてまいるところであります。
そうすると、いろいろな手段というものがこれから動き出すところもたくさんございます。したがって、それが全く動き出していないとは言わないが、まだ一部しか動いていない今の段階でKPIを修正するということは、敗北主義とは申しませんが、私としてそのようなことを考えておるものではございません。
○田村(貴)委員 大臣、私も地方です。地方の動きについては、予算委員会でも邑南の問題もお話ししましたように、いろいろと勉強させていただいています。問題は、やはり東京圏が動いていないといったところなんですね。
それで、各自治体は、国の総合戦略を勘案しながら地方の総合戦略と人口ビジョンを今策定しています。できたところもあります。その勘案するまち・ひと・しごと創生長期ビジョン、総合戦略には何と書かれているか。三つの基本的視点の一番目に、東京一極集中の是正と掲げているわけであります。ですから、政府の掲げる地方創生の一丁目一番地はまさに東京圏の一極集中の是正ではないかなと私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○石破国務大臣 そのとおりです。
ですから、一極集中是正といっても、何で一極集中しているんだという原因を究明して、それに対する処方箋を講じないと、単なるスローガンに終わるわけであります。
これはもう委員も百も万も御案内のとおりで、要は、転入超過というのは何なんだというと、男性も女性も、十五歳から十九歳、二十歳から二十四歳、すなわち若い世代の方々がその大半を占めているのだ。ということは、どういうことなんだ。つまり、大学に上がる、あるいは就職するというときにわっと人が来るのだということであって、そうすると、これを是正しようと思えば、地方において高等学校を卒業しても東京の大学に行くことなく地域で学ぶことがどうやってできるかということに策を講じなければだめだということでしょう。
そして、二十歳から二十四歳までにまた転入が多いということは、まさしく地域に職場がないということなのだが、本当にそうだろうかといえば、有効求人倍率は地方の方が高いのであって、そこにおいてミスマッチが起こっているのは間違いないことですから、先ほど来申し上げておる、どうやってそこにおいて所得を上げ、雇用の環境を改善するかということをやっていかなければいかぬだろう。
しかし、その二つがもしできたとするならば、この十五歳から十九歳、二十歳から二十四歳の、流入の大半を占めている方々の流れは変わっていくということだと私は考えております。
○田村(貴)委員 そこで、東京圏一極集中の是正をいかにして図っていくかということであるんですけれども、大臣、申しわけないです、もう一問ちょっと振り返ります。
先ほどKPIは変えないと言われたんですけれども、そうすると、今から残された期間で一生懸命転入転出の均衡を図るというのはかなり厳しくなってくると思うんです。そうしたら、出口を、二〇二〇年という区切りを変えるということは考えておられないんでしょうか。
○石破国務大臣 現時点で考えておりませんが、中間段階においていろいろな精査は行われます。そこにおいて、到底不可能であるということが明らかになった時点で、なおその数字にこだわることが現実的でないとするならば、それを修正するということは私は可能性としてあり得るものだと思っております。
○田村(貴)委員 それでは、質問を進めたいと思います。
当の東京圏の一都三県がどういうふうにこの問題を捉えているかということについて質問したいと思います。
東京圏の一都三県も含めて、総合戦略、人口ビジョンが発表されてきています。そもそも、社会増減について将来的に均衡するという予想を立てていません。ある県は、うちは東京から見たら地方である、東京に転出超過である、ある県は、若者人口が東京に対しては転出超過になっているというような認識であります。
そして、東京都はどう見ているのかということなんですけれども、東京都の総合戦略、ここではこういうくだりがあるわけなんですね。ちょっと紹介します。
国の「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」では、
「東京一極集中を是正する」ことを基本的視点の一つとしている。しかしながら、近代日本の経済成長の歴史は、大都市への人口集中の歴史でもあり、都市への人や情報の集積は、歴史的・経済的に必然性を有しているといえる。
このような東京への人口流入の背景には、旺盛な経済活動、多くの雇用の創出、人や情報などの充実した都市基盤が、地方の企業や若者を誘引したことなどがあり、これは、個々人の自発的な「選択」の結果による、都市への「集中」ともいうべきものである。こうした流れを、個々人の意思に反して政策的に誘導することは困難である。
個々人の意思に反して政策的に誘導することは困難である、東京都の総合戦略にこういうふうに書いておられるんですね。
転出入の均衡ビジョンを国は掲げる、しかし、一都三県にはそういう方向は見えてこないといった段階で、石破大臣も、目標数値は変えない、目標年次も変えないと言った、閣議決定された東京圏一極集中の是正がどうしてできるのかというふうに私は疑問を持つんですけれども、いかがでしょうか。
○石破国務大臣 お見受けするに、たまたま東京の先生はおられないような気もするのですが、その文章には私自身はかなり違和感は持ちます。ただ、それぞれの自治体がそれぞれの責任においておつくりになるものですから、感想を述べることはあっても、是正をするとか、そのような立場に立ってはおりません。
それはまさしく東京の論理なわけですね、今委員が御紹介をいただいたのは。確かに、個人の意思に反して政策誘導することはできないでしょう。そもそも、個人の意思に反して行政が何かができるなどということはございません。ですけれども、個人の方々が地方に移住しよう、あるいは地方においてこのまま東京に転出しないで地方にとどまろうということを政策的に誘導することは絶対に可能だと私は思っています。
東京の方々に、私は、東京都の立場としてそうおっしゃらなければいけないのはわかるのですけれども、これから人類が経験したことのない規模とスピードで迎える高齢化に本当に東京は対処できますかということであります。
東京が魅力を持っているので地方から人が集まったのだというような御趣旨のようでありますが、先ほどどなたかもおっしゃっていましたが、基本的に東京は消費する都市でございますので、食料が生産できるわけではない、再生可能エネルギーが生産できるわけではない、そして出生率は全国断トツの最低であるという意味で、消費する都市だけが残り、生産する地域が疲弊していくという国家があり得るかというと、そんな国家はあり得ないと私は思っているのです。東京は、今の現状を御解説になるのであればそのとおりです。しかし、これから先も本当にそうですかということを我々としては問わねばなりません。
ですから、東京の人と富を全国にばらまいて、東京が疎になり貧しくなればいいなんてそんなあほなことを考えているのではなくて、どうやってお互いにプラスサムというのか、ウイン・ウインの関係をつくるかであって、私は、東京都の御主張は事実の分析としてそのような認識を持っておられることはよくわかりますが、でも、もう一歩進んで考えてくださいませんかという思いが実は強くしておるところでございます。
○田村(貴)委員 だとするならば、政府が掲げる転出入の均衡について、やはり一都三県と合い議すべきじゃないかなというふうにも思うわけです。
そうした取り組みがないと、私は、総合戦略、人口ビジョンは出てきたんですけれども、拝見させていただいたら、これはちょっと背中合わせになっているんじゃないかなと思うんです。大臣、どうされますか。
○石破国務大臣 その意識はかなり早くから持っておりまして、内閣府に昨年のかなり早い時点で、舛添知事、あるいは森田知事、上田知事、黒岩知事にお越しをいただいて、我々の問題意識もお話をいたしました。それぞれ議会を持っておりますから、議会にも説明をされるということもございますけれども、やはり問題意識を共有するというところから作業はいたしております。
委員御指摘のようにぴたっと整合しているかというと、正直言ってそうではございません。そこは地域地域の利益もありますし、納税者の立場もありますので、それぞれの知事さん、市区長さんも説明する責任を持っていますから、この時点でぴったりと整合したものはできませんが、整合しなければ国全体として跛行性を持つことになりますので、跛行性という言葉が適当でなければ取り消しますが、ここは本当に国に対する危機感を共有するということが必要なことだと思っております。
ここは、もうどの党がどうのこうのという話じゃありませんので、日本全体がおかしくなっちゃったら、もう主義も主張もあったものではありませんので、いろいろな党におけるいろいろな御見解をまた御教示賜りたいと思っております。
○田村(貴)委員 私も危機感を持っています。
東京との関係でいきますと、全国北は北海道から南は九州、沖縄まで全ての地域ブロックの転出入は、地方から見たら転出超過になっているわけですよね。こうしたところをやはりもっと真剣に考えていかなければ解決できないというふうにも思っています。
もっと危機感を感じていることが、やはり開発がとまらないといった問題であります。東京と東京圏の人口がもっともっとふえていくという要素はいろいろあるわけであります。二〇二〇年というのは東京オリンピック・パラリンピックの開催と重なるわけであります。国の長期ビジョンも、オリンピック・パラリンピック東京大会の開催は、人口流入を増幅させる可能性が高いというふうにしています。
人口流入を増幅させる可能性が高いとするその根拠について教えていただけないでしょうか。また、その対策はあるんでしょうか。
○石破国務大臣 これは、先ほど来申し上げているように、若い方々が転入超過の大半をなしているということであります。そして、人口流入は、都市部と地方との所得水準の違い、有効求人倍率の違いなど、雇用情勢に大きな影響を受けてきたということであり、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催がそれを増幅させる可能性が高いということを述べたものでございます。
これは、実際多くの経済効果が見込まれるオリンピック・パラリンピックでございますから、そこにおいて雇用はあるでしょう。そしてまた、全国で例えば建設技能に携わる方々の需給が逼迫をしておりますから、そこにおいて高い給与を提示して人がまた集まるということもございますでしょう。このまま手をこまねいていれば東京に人がまた集中をする可能性は高いということは、それは間違いのない事実でございます。
ですから、そこに多くの雇用が創出され、そして、そこにおいて多くの高い所得が提示されるということを背景として、このような可能性を述べたものでございます。
○田村(貴)委員 対策を打っていかなければならないというふうに思うんですけれども。
三月五日の日本経済新聞の夕刊にこういう記事がありました。「工事 首都圏集中に備え」という記事であります。大手ゼネコン各社が東京圏での工事の増加を見据え、建設職人の確保と宿泊所を設けるとしています。記事の中では、東京圏では「複合商業施設などの再開発や、インフラ整備などの大型工事が続く。半面、地方では公共工事が減り、民間工事も需要が先細り傾向にある。」と書かれています。まさに、さらに首都圏、東京圏に人が集まり、人が住むことは間違いないというふうに思います。
そして、大臣、もう一つ私が気になるのは、同じ地方創生で論議している国家戦略特区であります。
その特区の中に規制改革メニューがあって、「容積率・用途等土地利用規制の見直し」というのが掲げてあります。「居住環境を含め、世界と戦える国際都市の形成を図るために必要な施設の立地を促進するため、都市計画の決定等をワンストップ化」する、そして「グローバル企業等のオフィスに近接した住宅の整備を促進するため、区域計画に定めた住宅の容積率の最高限度の範囲内で、都市計画で定めた容積率を緩和」する。最高限度の範囲内でさらに容積率を緩和していく。
これでは、ますますビル群が集積され、そして再開発はラッシュとなっていく。これによる人口増というのは政府の方はちゃんと見ておられるのでしょうか。また、その対策というのは立てていかれるのでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
国家戦略特区制度につきましては、東京圏も地方圏も含めまして、我が国の成長を促進していこう、そういう狙いでつくられている制度でございます。
東京圏につきましては、人口の過度の集中を是正しつつも、世界の大都市と戦える都市として国際競争力の強化を図るということは重要であろうと考えております。その一環として、国家戦略特区を活用いたしまして、住宅に関する容積率緩和の特例を考えているところがございます。
その狙いといたしますところは、グローバル企業等の勤務者に対する職住近接の魅力的な住居を提供する、こういうことを通じまして国際的な経済活動拠点の形成促進を図ろうというものでございます。
一方、国家戦略特区といたしましては、ほかにも、兵庫県の養父市でございますとか新潟市でございますとか秋田県の仙北市でございますとか、こういうところも指定しているところでございますけれども、こういうところはいずれも農業等の産業の国際競争力の強化ということを目指しているものでございまして、東京圏、地方圏をあわせまして日本の成長に寄与するような制度ということで考えているところでございます。
以上でございます。
○田村(貴)委員 特区の説明じゃなくて、容積率を緩和して、例えば一〇〇〇%、二〇〇〇%の超高層ビル群が出てくる、外国から世界一稼ぎやすい、ビジネス展開しやすい東京、東京圏をつくっていくと言ったら、これは人とお金と物が集積される、人口増は避けて通れないということに対してちゃんと考えておられるんですか、対策はあるんですか、見込みはどうなっているんですかと聞いたんですけれども、もう一度答えていただけますか。施策の紹介は要りません。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
今、国家戦略特区として容積率緩和を考えているところにつきましては、先ほど申しましたように、外国から来られる方、グローバル企業等の勤務者に対する魅力的な住居を提供するということを狙いとして考えていると聞いているところでございまして、そういう意味では、国際的な経済活動拠点を強化していくという意味において必要なことではないかというふうに考えているところでございます。
○田村(貴)委員 全然答えになっていないと思うんですけれども。
大臣、補足していただけますでしょうか。
去年、この委員会で我が党の宮本徹議員が品川とかの再開発問題について取り上げたんですよ。ビル群をつくれば昼間人口はふえます、昼間人口がふえるとやはり流入人口も一緒に来るというような質問をしたところ、石破大臣は、「普通に考えればそういうことになろうかと思います。」というふうにお答えになったと思うんです。
天井知らずの開発をしていく、ビルの集積をしていく、そして世界一稼ぎやすいビジネス展開をしていく。そうすると、やはりどう考えてももっと人口はふえていくというふうに考えるのが私は当たり前だと思うんですけれども、それを予測されていないのか、対策を持っていないのか、御見解も聞かれない。これはちょっと困ったものだなと思うんですけれども、いかがですか。
○石破国務大臣 基本は、今、政府参考人から答弁させていただいたとおりであります。
委員御指摘のような御質問をいただきましたので、私も、地方から東京へ帰ってきますたびに、また一つタワーマンションがふえたねという感じで、雨後のタケノコとは言わないが、何となくそんな感じでばんばん建つわけですね。そうすると、あの一棟で、私どもの選挙区であれば一つの町が入っちゃうみたいな感じなので、一体何なんだ、これはと。そこに一体どんな方が住まっておられて、それが東京に対する人口集中とどういう関係にあるのだということを今いろいろな手法で調べておるところであります。
まだ公に申し上げられる段階ではありませんし、もし御要請があればもう一度精査をしたいと思いますが、意外や意外、ああいうタワーマンションに住んでおられる方は、東京二十三区にお住まいだった方がタワーマンションに住まれたということであって、外から来られた方ではございません。
では、そういう方々が今まで住んでおられたところに誰が入ってきたのか等々、また調べなければいかぬことだと思いますが、あのタワーマンションなるものが地方からの流入をさらに促進しているかというと、意外と数字から見ればそうではないという感じを今持っております。
いずれにしても、ちゃんと分析をしないままお答えしてもいけませんので、そこはよく分析をした上で対策を講じなければいけません。
と同時に、これだけ木造密集住宅が存在しているというのも東京の大きな特徴でございまして、ここにおいていかにしてオープンスペースを確保し、いかにして震災等のときに被害が拡大しないような都市政策を展開していくかということは、あわせてやっていかねばならないことだと考えております。
○田村(貴)委員 ぜひ分析と、そして精査を進めていただきたいというふうに思います。
大臣、それから出席の議員の皆さん、私は東京と東京経済圏の発展について物を言っているわけではありません。政府が地方創生の一丁目一番地に東京圏の一極集中の是正を掲げているからこそ、そして、その方向と現実が真逆の方向を向いているからこの問題を取り上げているわけであります。
今、一生懸命地方が、国の手引に沿って、そして国の方針に即して、人口ビジョン、総合戦略を立てています。こうした戦略にとっても、仕掛けが、土台が崩れてしまったら、これはやはり地方の計画も成り立っていかないだろうというふうにも考えるわけであります。
資料3には、東京二十三区の人口予測をしております。青が人問研、国立社会保障・人口問題研究所の予測であります。緑が東京都の人口予測であります。現実が赤線であります。大きな違いを見せているところであります。
大臣、御存じかもわかりませんけれども、「たたかう東京」という本がございます。森記念財団の人口推計値を、財団の前の理事長である都市計画の専門家伊藤滋さんがこの著書の中で紹介しているわけです。何と述べられているかといいますと、これからも東京では公共、民間両面で経済活動が活発であること、人口ピークを迎えるのは、社人研や東京都の予測とは違って、二〇四〇年以降になるというような持論を展開されている、こういう結果があります。
この表に基づいて、ちょっとこちらの表をごらんいただきたいんです。森記念財団の人口予測を私がお配りした紙に上乗せてみたんですけれども、オレンジのラインがこうなっていくわけです。そうなると、これはやはり、今地方も参考にしている人口問題研究所とかその他の数値とはちょっと違った状況になってきているということが読み取れると思うんです。もうちょっと実態に即した人口計画、人口予測値を示すべきではないかな、これは要望をさせていただきたいというふうに思います。
土台がやはり定まらない東京一極集中の是正について、国の総合計画を勘案せよと言われても、私は地方にとってちょっと勘案しようがないところにあるんではないかなというふうにも思います。
重ねて言いますけれども、やはり本腰になって、一都三県、東京圏への人口集中、一極集中を是正しないと、私はこの問題は解決できないというふうにも思っています。
きょう議論させていただいたと思うんですけれども、三日間議論させていただいたんですけれども、一丁目一番地に対して、政府の取り組み、その本気度がなかなかうかがえない。地方はよく頑張っていますよ。私もよく見てきました。その本気度について、大臣、一番の所管大臣として今後どこを努力されるか、教えていただきたいと思います。
○石破国務大臣 これは、舛添知事やあるいは黒岩知事とよく議論をさせていただくことです。
例えば、舛添知事も福岡の出身で、そして地方のいろいろな状況はよく知っているはずです。地方の高齢化もどんな問題かもよく知っているし、炭鉱が閉山してどうなったかということについても非常にリアルな実感をお持ちの方です。
ですから、東京がどうとか地方がどうとかという話じゃなくて、このままいったらば、二十年か三十年の時間差を置いて、地方も東京も同じように消滅、衰退に向かうという危機感を共有することが大事なんだというふうに私は思います。
昭和三十年から昭和四十五年までのたった十五年の間に、五百万人の人が地方から首都圏に移り住んだ。去年は昭和でいえば九十年ですから、昭和三十年に十五歳で来た人は七十五歳になっておられるわけで、これから東京が迎える高齢化というのは、人口カーブがよしんばこのようなカーブを描いたとしても、それはどういう中身の人口構成ですかということまで突っ込んでお話をしなければ意味がないことだと思っております。
地方と東京とお互いが、ウイン・ウインの関係という言葉を私は余り多用したくないのですが、それへ持っていくためにはどうしたらいいかということにお互い知恵を絞っていかないと国全体が消滅してしまうというような危機感を共有したいと思っております。
○田村(貴)委員 時間が来ました。終わります。