○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
県費負担教職員の給与負担者が、政令指定都市に来年度から移譲されます。そのことによって生じる問題について質問をいたします。
この問題は去年も質問しましたが、文部科学省は、制度改正によって義務教育の実施に影響を及ぼすことがないよう的確に対応する必要がある、政令指定都市の教育水準は低下することはないとの答弁を繰り返してされてきました。これに変わりはないでしょうか。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの、平成二十六年五月二十七日の参議院総務委員会におきます文部科学省答弁の内容でございますけれども、これにつきましては、現在も変わりないところでございます。
○田村(貴)委員 ところが、実際には、権限移譲をきっかけに、手当や休暇など教員の待遇が大きく後退いたします。
私の地元北九州市、山本大臣の地元の北九州市の教員の不利益について紹介をしたいと思います。
まず、地域手当が四・二五%から三%に減らされます。それから、病気休暇が百八十日から九十日間に半減されます。さらに、子供の育児支援休暇、これまでは中学校までの子供であれば学校行事参加の際も取得できましたが、これからは子供の病気だけ、それから対象は小学校までとなります。
職場の仕事やあるいは内容が変わらないにもかかわらず、労働条件がこれだけ大きく後退するわけであります。北九州市は、従前と同様の制度を設けることは困難としています。
そこで、総務省にお伺いしますけれども、地方公務員でもある教員の労働条件の低下、不利益変更を総務省はよしとするのでしょうか。
○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
一般論でございますが、地方公務員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、地方公務員法の趣旨や人事委員会勧告等を踏まえ、各地方公共団体の条例で定められるものであります。
各地方公共団体においては、地域住民の理解と納得を得るべく、国家公務員との均衡等を踏まえた制度設計を行い、議会での議論を経て、各団体において適切に勤務条件を決定すべきものというふうに考えております。以上でございます。
○田村(貴)委員 北九州市教委の資料によれば、四十歳の先生で、地域手当は月額四千六百五十三円の減額になります。これは、四十歳以上の中堅の先生方だと、年間に約六万円から七万円、この手当だけで減額されることになります。
教員の給料が下がることを、文部科学省、これはいいと言えますか。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの北九州市の地域手当につきましては、国の支給割合に準じて支給するため、一年の経過措置を設けた上で三%にする条例案が上程されたと伺っております。
北九州市の教職員の給与につきましては、教職員以外の市職員や国家公務員の支給水準、地域におきます民間の給与水準などとの均衡を考慮して、給与負担者である北九州市において、条例で適切に定めるものと考えております。
なお、北九州市からは、扶養手当の増額を含め、給与水準全体の確保に取り組んでおられると伺っているところでございます。
○田村(貴)委員 込み込みでもいいですよね、年収でもいいです。権限移譲によって教員の給料が下がる人が出てくるわけですよ。
そのことを文科省はいいと言えるんですかと聞いているんですよ。もう一回答弁してください。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど委員から御指摘のありました四十歳時点の者につきましては、私どもとして市の方から伺っているところでは、先ほど御紹介申し上げた扶養手当の増額も含めて年間の給与水準は増額すると聞いておりまして、そのような報告を受けているところでございます。全体として給与水準の確保に取り組んでおられるというふうに聞いております。
○田村(貴)委員 北九州市教委がそう言ったとしても、現場の先生方はそうは言っていないわけですよね。
給与水準が下がった、給料が下がったとするならば、これは文部科学省はどう考えるんですか。もう一回答弁してください、下がったとするならば。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
個々のケースに応じて仮にということでは、なかなかお答え申し上げにくいところではございますが、先ほど申し上げたとおり、それぞれの地域ないしは市職員等との均衡、民間も含めまして、条例において、今、案として検討されているところであり、これを当該議会、市として最終的に決定をしていくものであり、そのことに関しまして、直ちに私どもとして口を挟むということにはならないと考えております。
○田村(貴)委員 地方のこと、条例云々と言われましたけれども、今度の教職員の給与の負担者の変更は、これは国が決めたことでしょう。文科省においては中教審で審議し、そして閣議決定をし、関連法案を改正したんです。国会で決めたんです。国が行った権限移譲で、これだけの不利益が出てくるわけですよ。
そして、北九州市教委も、手当以外にこれまでの制度を存続することができない、制度が後退するということは認めているわけですよ。それをちゃんと受けとめないとだめですよ。
教員の労働条件というのは、教育条件に大きく影響してまいります。教員の労働条件が下がったら、これは教育の水準が確保できないのではありませんか。教員の労働条件が引き下がることによって教育の水準が確保できない場合には、どうやって対応していくんですか。文科省、答えてください。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
文部科学省としては、今回の北九州市さんにおきます教職員の給与、勤務条件につきましては、関係法令に基づいて、各地方公共団体の条例、今回でいいましたら北九州市さんの条例で適切に定められるものでございまして、今回の権限移譲によりまして、指定都市の、北九州市さんの教職員の給与あるいは勤務条件につきまして把握をさせていただいた上で、必要に応じて助言等を行ってまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 病気休暇が半分になるとか、それから、学校行事でこれまで休めていた先生が子供の病気じゃないと休めなくなる、これだけの不利益がこれから強要されることは間違いないわけなんですよ。それは教員のモチベーションにも影響してまいります。
さらに、その正規教員の待遇は、フルタイムの、常勤の先生方、いわゆる非正規の教員の方にも及んでいくわけであります。条件が悪くなったら、これは他都市に流出していくということにもなります。今でさえ代替の先生の確保がままならないときに、教育に穴があく、こういうことも懸念されていくわけです。これは国としてしっかりと受けとめていただきたいと思います。
山本大臣にお伺いしたいと思います。北九州市で、いわゆる勤労市民五千人の給料が下がるかもわからないという話であります。これまで、子供たちに一生懸命、必死に働いてきた政令市の教員に、分権改革の名前で不利益を押しつけてはならないというふうに思います。これは政府として何らかの対応をすべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○山本(幸)国務大臣 この県費負担教職員の給与負担等に関する事務、権限の政令指定都市への移譲は、第四次地方分権一括法において行われたわけでありますが、指定都市から長年要望があったものでありまして、指定都市市長会からは、地域の自主性を高める取り組みは前進したとの評価をいただいているものと認識しております。
今後とも、地方公共団体が適切に行政を遂行できるよう、関係省庁と連携し、地方の発意に根差した地方分権改革に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
なお、これまでも、事務、権限の移譲に伴う財源措置については、地方公共団体において移譲された事務、権限が円滑に執行できるよう、当事者の意見も踏まえ、地方交付税等による財源措置が講じられてきたところであり、県費負担教職員の給与負担等の指定都市への移譲についても、適切に対応する方向で検討が進められるものと認識しているところであります。
○田村(貴)委員 政府としては対策を講じていただきたいと思います。
それから、総務省、文科省、特に文科省ですね、自治体の判断といって、これは逃げてはいけませんよ、国が決めたことなんですから。政府として、政令市の教員の労働条件、この維持に責任をしっかり果たしていただきたいというふうに思います。
次の質問に移ります。
鹿児島県の馬毛島の軍事利用について質問をします。
防衛省は、米軍空母艦載機の地上訓練の候補地として馬毛島を挙げてまいりました。そして、十一月十八日に、空母艦載機着陸訓練が実施可能な自衛隊施設用地の検討に係る不動産鑑定評価業務の入札公告を行ったというふうにされています。
これは新たな防衛省の動きでありますけれども、どのような状況の変化があったのでしょうか。説明をしてください。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
鹿児島県の馬毛島につきましては、平成二十三年以来、南西地域における防衛体制の充実のため、自衛隊施設を整備するとともに、空母艦載機の着陸訓練、これをFCLPと申しておりますけれども、これを実施するための候補地として検討を進めてまいったところでございます。
これまで、馬毛島を候補地として、自衛隊の具体的な利用計画の検討や米側との協議を行うとともに、あわせて、馬毛島の土地所有者の方と交渉をさせていただいてまいりました。
このような中、先般、土地所有者の方から、所有する土地を売却する意向が示されたということがございました。このため、十一月十八日、候補地である馬毛島の不動産価格を把握することを目的として、土地所有者の方との交渉を行う上での資料収集の一環として、必要な不動産鑑定評価業務の入札公告を行ったところでございます。
○田村(貴)委員 馬毛島を国として所有するという判断になったということですか。
ほかの候補地はもう選択にないということで、確認したいんですけれども、そういうことでよろしいですか。
○深山政府参考人 今申し上げましたとおり、鹿児島県の馬毛島につきましては、平成二十三年以来、南西地域における防衛体制の充実のため、自衛隊施設を整備するとともに、空母艦載機の着陸訓練を実施する候補地として検討を進めてまいったところでございます。
現時点では、馬毛島が有力かつ重要な検討対象であると考えているところでございますが、馬毛島以外の候補地については、今後の選定作業及び周辺の方々への影響等があり得ますので、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○田村(貴)委員 この不動産鑑定の入札公告は、単に事務的な行為ではありません。目的があるからこそ、公費を今から費やすのではありませんか。
事は重大であります。馬毛島は、種子島の西之表市から最短で十二キロ、本当に至近距離にあります。
きょうは宮澤政務官にお越しいただいております。島の軍事利用に対して、西之表市それから中種子町、南種子町それから屋久島町、この一市三町が米軍基地等馬毛島移設問題対策委員会をつくって長年反対されてきた経緯について、どのように受けとめておられるでしょうか。
○宮澤大臣政務官 お答え申し上げます。
地元の一市三町、今先生もおっしゃったとおりでございますが、この首長と議長さん等で構成する協議会、これが本件について反対をし、要請等を行っていることについては、我々も承知をしているところでございます。
防衛省としましては、平成二十三年七月に防衛副大臣が協議会に対して説明するなど、継続して地元議会等へ説明を実施してきているところでございます。
なお、私たち防衛省としましては、空母艦載機着陸訓練施設の確保については、我が国の安全保障上、重要な課題であると認識しておりまして、できるだけ早期に実現できるよう、地元の皆様の御意見に十分配慮しつつ検討を進めてまいりたい、そのように考えているところでございます。
○田村(貴)委員 西之表市のホームページに、この十年間の経緯について詳細に記録が公開されています。私もこの十年間の歩みを見せていただいたんですけれども、今から九年前の二〇〇七年二月に、FCLP候補地として馬毛島が報道されました。
対策協議会が設立され、今日に至るまで、自治体は移転反対の要望を国に、そして県に何度も何度も行ってきたわけであります。
まさに何度も何度も行ってきて、意見書や決議が議会で上がって、そして防衛省は、種子島においても、あるいは周辺の自治体においても、あるいは東京の本省においても、繰り返し自治体、島民の切なる声を聞いてきたはずであります。今、政務官がおっしゃったとおりであります。
にもかかわらず、地元の同意なしにこのFCLPの訓練をやっていくのか、進めていくのか、このことについてお聞かせいただきたいと思います。
○宮澤大臣政務官 お答え申し上げます。
繰り返しますけれども、この空母艦載機着陸訓練施設の確保については、我が国の安全保障上、重要な課題と認識しております。でありますから、これを実現するために地元の御理解と御協力が重要であると認識しております。地元の皆様のさまざまな思いをしっかりと受けとめながら、丁寧に対応していく必要があると考えております。
ちなみにではございますけれども、先ほど先生がおっしゃった一市三町のうち、中種子町議会そして南種子町議会におかれましては、公正中立な立場から情報収集し、町民に説明したいとして、対策協議会から離脱しているということもつけ加えさせていただきたいと思います。
以上です。
○田村(貴)委員 その二つの議会のことについては、私も承知しています。
では、政務官、もう一つお伺いしますけれども、現時点で、種子島それから屋久島、この関係自治体の首長さん、それから島民の方々から、これはもろ手を挙げて賛成だ、どうぞ来てほしいと理解が得られるというふうに思っておられるんですか。理解は得られていると思っておられますか。
○宮澤大臣政務官 繰り返しの答弁になりますけれども、地元の御理解と御協力が重要であると認識しております。
ですので、地元の皆様に、思いをしっかり受けとめながら、丁寧に丁寧に対応してまいりたい、そのように存じております。
○田村(貴)委員 理解は得られていないということでよろしいんですか。
○宮澤大臣政務官 これからも理解が得られるよう、丁寧に対応してまいりたいと思っております。
○田村(貴)委員 防衛省にお伺いします。
不動産鑑定評価業務の入札公告について、対策委員会と自治体に知らせたのはいつですか。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
不動産鑑定評価業務の入札公告を行うに当たりまして、地元の自治体の皆様、これは具体的に申しますと、鹿児島県西之表市、中種子町、南種子町、屋久島町に対しまして、公告の当日、十一月十八日の朝に九州防衛局から御連絡と御説明を申し上げたところでございます。
○田村(貴)委員 当日、いきなりの連絡ですよね。なぜ入札公告を行うのか、このことについても詳しくは知らされていません。まさに私たちも新聞報道で読んだ、寝耳に水の話であります。
馬毛島というのは、一九九五年、東京の立石建設が買収しました。過去幾度となく、米軍使用、軍用化が検討されてまいりました。その中で、防衛省は、所有会社と、当時の責任者である立石勲氏と、売買にかかわる話し合いを行ってまいりました。
そこで、お伺いしますけれども、その立石氏が、約三億二千万円を脱税したとして法人税法違反の罪に問われ、二〇一一年六月三日、東京地裁から懲役二年六カ月、執行猶予四年の判決を言い渡された、このことについて承知をされていますか。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
馬毛島の大半を所有する方が過去に法人税法違反の罪に問われまして、東京地裁で御指摘のような判決が出たということにつきましては、報道等により承知しております。
○田村(貴)委員 その判決の理由で裁判官は、脱税額は極めて高額で悪質だ、顧問税理士にも協力を依頼しており、規範意識の低さは強い非難に値すると判決で指摘したわけであります。相手方はそういう経緯をたどったところだということであります。
それから、この所有者は、空港にしたいという長年の企図があって、そして滑走路を造成してきたわけなんですけれども、この島の状態の認識についてお伺いしたいと思います。
この滑走路については、使用にたえられるものなのか、ジェット機の離発着にたえられるものなのか、それについてどういうふうに認識しておられるでしょうか。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
馬毛島の大半を所有する方が、御自身が所有する土地において造成工事を行っているということは承知しておりますが、航空写真等で確認する限りでは、ジェット機の離発着が可能となるような状態ではないと考えております。
一般論として申し上げますと、ジェット機が離発着できる滑走路につきましては、一定程度の厚さのコンクリート舗装等、そうしたものが必要であると考えております。
○田村(貴)委員 そうすると、コンクリート舗装等々の整備が必要になってくるということは、島のいわゆる買収価格に、さらに造成費がかさんでくるという理解でよろしいんでしょうか。
○深山政府参考人 まだ所有権も保有していない島についてでございますので、仮定のお話ではありますけれども、一般論として申し上げますれば、FCLPが可能な施設をつくるためには造成が当然必要になると考えておるところでございます。
○田村(貴)委員 果てしない国費が投入されるわけです。
地元の方々は、不安だ、そこで、空母艦載機の離発着訓練が見えるところで行われる、平穏な島を変えてほしくないと、もう十年にわたって陳情され、そして、政府に対してやめてほしいと言ってきたわけなんですよ。
こうした反対があるにもかかわらず、国がわざわざ無人島に自衛隊施設をつくると。そこでは寝泊まりできないから、種子島のどこかに自衛隊のいわゆる宿舎をつくっていくということなんですよ。
午前中、きょうの議論もありましたけれども、離島振興と地方創生ですね、こうした流れが私は逆行すると思いますよ。住民生活に耐えがたい苦痛それから不安を押しつけて、米軍訓練を押しつけるやり方、これが地方創生のあり方ですか。私は、それは違うと思います。
今やはりやるべきことは、離島は大変な状況にあるわけです、航空路それから航路の運賃助成はどこの島も悲願であります、これをやるべきじゃないですか。それから、産業や雇用対策を政府一丸となってやっていく。離島の振興なくして地方創生なんかは言えませんよ。そういう中で、こういう施設をつくること、米軍の軍事演習をすること、これはまさに逆行していると言わなければならないというふうに思います。真にあるべき離島の振興というのは今私が申し上げたような立場でありますけれども、山本大臣はいかが考えておられるでしょうか。
○木村委員長 時間が来ておりますので、山本国務大臣、簡潔に願います。
○山本(幸)国務大臣 離島と本土を結ぶ航路について、その維持、確保は重要であることは認識しておりまして、国土交通省において、赤字航路について、航路維持や運賃割引について助成していると承知しております。
また、観光を含む産業振興については、種子島には種子島宇宙センターや鉄砲伝来という歴史、屋久島には屋久杉に代表される世界自然遺産という、ほかにはない地域資源があると認識しておりまして、こうした魅力を生かして地域の稼ぐ力の向上に取り組むことで、しっかりと地方創生を手がけていただければというふうに思っております。
○田村(貴)委員 FCLPの訓練というのは、今、硫黄島において行われています。これは、実際の空母艦載機訓練への仮免許を取る訓練なんですよね。高度な技術を要する訓練であります。実戦さながらの危険を伴う訓練であります。
事故と隣り合わせの自衛隊施設、米軍訓練、これは許されません。平穏な島民の日常を脅かすことは絶対に許されないと考えます。馬毛島の軍事利用をしないことを強く求めて、きょうの質問を終わります。