195-衆-農林水産委員会-4号 平成29年12月05日 軽種馬生産の支援を 田村衆院議が農家減少を指摘 衆院農水委

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
競馬法改正案について質問をします。
今回延長される二つの措置は、JRAから地方競馬全国協会への支援と、地方競馬全国協会における畜産振興の資金を地方競馬の活性化に使えるという措置であります。
この措置を定める附則八条一項は、交付金の使途を定めた法二十三条の四十二、この規定の例外を設けるものであります。なぜ、本来は畜産振興業務の勘定から競馬活性化の勘定に繰り入れをしてはならないとされているのか、この理由について御説明をいただきたいと思います。


○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
地方競馬全国協会が行います地方競馬の活性化の取り組みに対する補助事業、いわゆる競馬活性化事業でございますが、に必要な経費は、本来、地方競馬主催者から交付されます使途制限のない二号交付金、法律でいきますと競馬法の二十三条一項二号の交付金により行うべきものでございます。
しかしながら、主催者の経営改善が緊急に必要とされている事情に鑑みまして、これに集中的に取り組むための時限措置として、主催者から交付される、本来、法の目的でございます畜産振興のみに充てるべき法二十三条一項一号、一号交付金の一部を、競馬活性化事業に必要な経費の財源に充てることができるというのがこの法律でございます。
今回、地方競馬の経営改善が道半ばの状況であることを踏まえまして、この特例措置を延長いたしますが、この措置が一時的に必要なものであるという性格は変わってございませんので、本改正案でも、引き続き特例措置として位置づけているところでございます。


○田村(貴)委員 この特別措置が二〇〇四年にとられて、そして今回が三回目の延長となっていくわけであります。
延長を続けざるを得ないその理由と背景について、また説明をいただけないでしょうか。


○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
これまでの地方競馬の活性化に向けた取り組みによりまして、地方競馬の競馬主催者の経営状況は、平成二十六年度に全主催者の単年度収支が黒字化いたしましたけれども、平成二十八年度には十四主催者中五主催者が地方公共団体に収益金を配分、五主催者しか配分できていないという意味で、まだ経営改善が道半ばの状況でございます。
この経営改善を確固たるものとし、地方財政へ寄与するように本改正案を提出しているところでございます。


○田村(貴)委員 あわせて、五年の時限措置でありますけれども、その五年後の展望についてはどういうふうにお考えになっておられるんでしょうか。


○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
今回の特例措置の延長によりまして、各主催者の経営基盤の強化に向けた取り組みがさらに推進されまして、自立に向けた環境が一段と整うものというふうには考えてございます。
しかしながら、支援措置の五年後の継続の有無につきましては、各競馬主催者の収益状況やその見通し等から総合的に判断すべき事項というふうに考えてございまして、現時点で一律の基準を示すことはなかなか難しいかなというふうに考えてございます。


○田村(貴)委員 きょうもずっと議論が続いているわけですけれども、北海道を中心とする馬産地からは、非常に経営が厳しいとの声をいただいております。
北海道庁にお伺いしますと、生産頭数は、二〇〇五年に七千六百八十四頭あったものが、二〇一六年、約十年たって六千七百五十一頭に減る。それから、飼養農家は、この間、一千百四十九戸から七百八十戸に減ってきたということであります。負債を抱えている、借金を負っているという農家のお話も出てまいりました。そうでなくて、借金はしていないんだけれども、借金がない今のうちにやめてしまおうかという離農者もおられるというふうなお話も伺っております。
こうした厳しい状況について、日高地方を中心とした馬産地の現状について、いま一度御説明をいただけるでしょうか。


○大野政府参考人 お答え申し上げます。
軽種馬の生産につきましては、地方競馬主催者の経営悪化に伴います賞金額の引き下げ、景気の低迷による馬主の購買意欲の低下等によりまして競走馬の需要が低迷いたしましたことから、生産戸数、頭数ともに、委員御指摘のとおり減少しているところでございます。
また、軽種馬生産者の経営状況につきましても、多くの生産者の方が負債を抱えるなど、厳しい状況にあると認識しているところでございます。


○田村(貴)委員 大臣にどこかで御答弁いただきたいなと思っておるんですけれども、競馬法の第一条は、もう言わずもがな、自治体財政への寄与、そして畜産振興をうたったものであります。この二つの目的があるからこそ競馬が成り立っているといったところでありますし、こういう議論をするときに、やはりこの一番大事な原則に立ち返ることが私は非常に大事だなというふうに思っています。
そして、馬産地、生産農家も、そこにやはり畜産を担っている、農業を担っているという誇りを持って生産に携わっておられると思うんです。この重要な点について、大臣の御認識はいかがなものか。
それともう一つは、この継続措置がないとなかなか大変だということは理解できます。そして、軽種馬の生産、それから馬産地の振興、そうしたところに農林水産省本省が支援を行うという検討はこれまでされてきたのでしょうか。今検討にあるのか、あるいはこれから検討課題となっていくのか。
馬産地振興、そして馬を生産される農家の窮状に照らしてみて、農林水産省として、大臣としていかがお考えになっておられるか、御所見を伺いたいと思います。


○齋藤国務大臣 これまでも御答弁申し上げておりますけれども、中央競馬の方は、法に基づいて、その売り上げの一部を国庫納付を通じた畜産振興への寄与というものを法で目的としております。また、地方競馬は、売り上げの一部の地方競馬全国協会に対する交付金を通じた畜産振興への寄与に加えて、御指摘のように、主催者の地方公共団体に対する収益金の配分を通じて地方財政の改善を図るということを目的としているわけであります。
ただ、御案内のように、先ほど来申し上げましたように、これまで累次の努力によりましても、十四主催者のうち、まだまだ累積を解消するまではいっていないというところがあるものですから、まずはこれをしっかり立て直していくということが重要なのだなと思っておりますので、今回の法改正によりましてしっかり五年間取り組んでいきたいということに尽きます。
それから、馬産地の振興につきましても、お話を申し上げているように、競馬そのものがしっかりとファンをつかまえて振興されていかなければ馬産地の生産も成り立たないということになっていきますので、現在の仕組みを通じて、馬産地の振興にもしっかり取り組んでいきたいと考えております。


○田村(貴)委員 競走馬生産振興業務は、種牡馬の導入事業など、重要な役割を果たしています。
JRAから競走馬生産振興への資金が、この時限措置五年間、五年後にもしなくなるということになりましたら、こうした業務というのはどうなっていくのか。やはり影響は及ぶのではないかなと思うんですけれども、五年後、この競走馬生産振興への資金が途絶えることによってどういう状況になっていくかということについて、見通しをお聞かせいただきたいと思います。


○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
地方競馬全国協会が実施をいたします競走馬生産振興業務につきましては、地方競馬の不振に起因いたします競走馬の需要減少等の問題に対処するために、地方競馬が活性化するまでの間の時限措置として、日本中央競馬会からの資金融通措置が講じられているところでございます。
今後の五年間におきまして、地方競馬発の有力馬を育成、活用するための施設整備ですとか人材の育成、中央競馬、地方競馬間での勝馬投票券の相互発売の促進、共同広報の実施、オッズですとか馬体重等の情報表示システムの統合整備等の事業を支援することによりまして、地方競馬主催者が支援措置に頼らない自立的な経営が行える状況になるように後押ししていくことが必要というふうに考えてございます。
このことによりまして、各地方競馬主催者の売り上げを回復させまして、日本中央競馬会からの支援に頼る必要がないような経営構造が確立できるように努めてまいりたいと存じます。


○田村(貴)委員 自治体財政への寄与についても質問したいと思います。
十四ある地方競馬において、全場が黒字だというふうに伺っております。しかし、老朽化対策、それから地震対策、またファンが飽きない施設づくりには資金が必要であります。大きな借入金があるところもあります。
今、自治体への収益配分ができている五つの主催者以外にも、今後配分が可能になるという見通しは、現在どういう状況にあるか、説明をいただきたいと思います。


○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十八年度の決算でございますけれども、全ての主催者、単年度収支黒字ではございますが、御指摘ございましたとおり、構成元の地方公共団体に対する収益配分ができているのは五主催者だけでございます。
この理由でございますけれども、一つは、累積赤字を抱えている主催者にありましては、借入金の返済を優先していること、二つ目としては、老朽化施設の改修等が必要な主催者にあっては、この施設改修に必要な財源確保のために積み立てに充てているということがその理由というふうに考えてございます。
各主催者によっていろいろ差はございますけれども、基本的に、収益配分につきましては各地方競馬主催者の議会において決定されるものということではございますが、借入金の返済ですとか施設改修への財政確保を優先している場合でありましても、中長期的な返済計画や施設整備計画を策定いたしまして、収益からこれらに必要な額を差し引いた一定額を上回った額を分配金として配分することも可能であるというふうに考えておりまして、農林省としても、分配金の配分に向けました地方競馬の取り組みを支援してまいりたいと存じます。


○田村(貴)委員 関連してお尋ねしますけれども、今、借入金の返済という話がありました。自治体と地方競馬の主催者との間には、お金の貸し借りの関係はあります。
そのほかに、自治体が競馬場の主催者に対して直接の補助金とか交付金、このお金を持ち出しているというような例は、今、十四場あるところで、実際存在しているのでしょうか。


○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
借入金は、自治体から借り入れてございますので、その返済に充てているということでございます。
あと、公的支援の関係でございますけれども、軽種馬の生産というのは、競走馬を活用するということでございますので、この競走馬の生産の対策を国費で賄うということについては、なかなか納税者、国民の理解を得ることは難しいというふうに考えてございます。
そういう意味から、自治体また国から直接公的な支援というものはしてございません。


○田村(貴)委員 確認しました。
ちょっと通告はしていないんですけれども、農水省から資料をいただいた、これについて教えていただきたいんです。
地方競馬の一人一日当たり購買単価、これを見せていただきますと、全体として年々下がっています。本場における発売、それから場外発売所ともにです。
その中で、電話、それからインターネット投票は年々上がっています。インターネット投票、平成十九年度一人当たり九万三千円、平成二十八年度は十万五千円。
競馬場で買う人以外に、ネットでは一人当たりの購入金額がふえている、この傾向をどのようにごらんになっておられるか、これも教えていただきたいと思います。


○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
今先生おっしゃられましたとおり、昔に比べると、一人当たりの購入金額、特に場内で購入する金額は減ってございまして、これは地方競馬も中央競馬も同様の状況でございます。
あと、ネットの方は、ネットの拡大、人数もそうですし、ネットによって買う金額というのが上がってございますけれども、基本的には競馬場に行くことからネットの方で楽しむというふうにシフトしている中で、ネットの方が拡大に伴って単価もふえている、本場の方は行ったとしても単価は減ってきているという形になっているんじゃないかというふうに考えてございます。


○田村(貴)委員 わかりました。
馬産地においては、農地の流動化とかまた規模拡大がなかなか難しく、そして、今後生産頭数の減少も見込まれるというような状況にあります。
競馬法の一番の目的である地方財政への寄与、そして畜産の振興、こうしたところを農林水産省としてもしっかりと知恵も出して、そして支援をしていただく、このことも要望して、私の質問を終わります。