○田村(貴)委員 最大限配慮するといっても、長谷長官、その説明が、沿岸漁業者、クロマグロ漁師さんたちを説得するものにはなっていない。もう何年も続いているわけですよね。現状が変わらず、それどころかどんどん悪くなる状況に対して、マグロ漁師が生計を維持できるように、将来に展望が持てるように、早急に漁業枠の配分を見直すように、強く要求するものであります。
マグロもとれない、その餌となるイカがとれない。イカがとれないのは、全国的な大きな問題になっています。私自身、予算委員会の地方公聴会の際に函館に行ったときに、水産関係者から、これはもう本当に深刻な状況であるという話も伺いました。そして、ホッケ、スケトウダラ、サバ、これもとれない。今、このホッケ、スケトウダラ、サバについては、資源管理を強化するとの検討が始まったと聞いています。
どの魚種も、漁獲枠を設けるなら、漁獲圧の強い漁業から規制すべきであり、水産庁が決めてしまって漁業者の了解を得る方向では、クロマグロとまた同じ問題が生じてしまうと漁師たちは言っているわけであります。
そこで、通告しております、大臣にお伺いします。
沿岸の漁業者が資源管理の方法の決定に参加できるように、漁獲枠を設けるならば、その漁業者自身が枠を決定する制度が必要である、仕組みが必要であるというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
○吉川国務大臣 資源管理につきましては、昨年十二月に漁業法を改正をし、持続的に採捕可能な最大の漁獲量を達成できる水準に資源を維持、回復させることを目標に取り組むことといたしております。
このため、四月二十四日に開催をされました水産政策審議会におきまして、ホッケ、スケトウダラ、マサバ、ゴマサバについて、優先的に検討を開始していく考えを説明したところでございます。
これらの魚種でありますけれども、ホッケやスケトウダラのように、資源水準が極めて悪く、資源回復に早期に着手すべきものや、サバのように、最大の漁獲量を達成する水準にまで資源が回復しつつあるものでありまして、これらの資源管理について、優先して取り組む考え方でもございます。
また、法律の成立に際しまして、衆議院の附帯決議におきましては、漁獲可能量及び漁獲割当て割合の設定等に当たりましては、漁業者及び漁業団体の意見を十分かつ丁寧に聞き、現場の実態を十分に反映するものとすることとされておりますので、新たな資源管理措置の導入に当たりましては、沿岸漁業者を含めた関係者の意見をしっかり聞きつつ、この検討も進めてまいりたいと思います。
○田村(貴)委員 しっかり意見を聞いていただきたい、そして、漁業者が参加する制度にしていただきたいと思います。
やはり、家族的操業をしている沿岸漁業者は、本当に日本の水産を守っておられます。頑張っておられます。大事にしていただきたい。
一方で、聞き捨てならない話を長崎の漁師さんから聞きました。まき網の船団が、イカ釣り漁船を使って操業しているということであります。
資料一、お配りしています。対馬市の上対馬町漁協の漁業違反シートに添付された写真の一部をお借りしてまいりました。
廃業したイカ釣り船を買い取ったり契約したりして、この船を使って、その周りに大中のまき網などの漁船団が操業しているわけであります。このイカ釣り船には、水中灯を使っている、それから集魚灯をいっぱいつけているんですけれども、肝心なイカ釣り機、巻き上げ機はついていないわけなんですよね。これ、違法操業ですよね。こうした状況がレーダーによってわかり、そして確認をされたところであります。
こうしたところが、説明にもありますように、十カ統、あるいはそれ以上、大胆にも操業しているということでありますけれども、これは法律上どうなりますか。どうやって取り締まっておられますか。お伺いしたいと思います。
○長谷政府参考人 お答えいたします。
本件は、長崎県が定めております漁業調整規則によりまして、県知事が許可しております中型ですとか小型のまき網漁船等について、集魚灯を用いて魚を集める灯船の隻数等の規制が行われているという件でございます。
まき網船ですので、魚をとる網船のほかに、集魚灯で魚を集める灯船というようなもので船団を構成されますけれども、その灯船の隻数の規制が行われているんですけれども、長崎県庁に聞きましたところ、まき網漁船が、この県規則で定める灯船以外に、イカ釣り漁船などの集魚灯も利用して操業しているのではないかという情報があって、県として、規則等の遵守のために漁場で調査、監視活動を行っているというふうに報告を受けました。
○田村(貴)委員 水産庁はどうしますか。水産庁はどうするんですか。
○長谷政府参考人 一義的には、既に長崎県の取締り当局が、部局が県の規則違反についての取締りを進めているということでありますので、その状況を見守っていきたいというふうに思っております。
○田村(貴)委員 漁業法に基づく、指定漁業の許可及び取締り省令三十三条に違反する、そうですよね。ですから、届出をしていないということは、違法操業になるわけなんですよ。これは、ちゃんと取り締まらないといけませんよ。
そして、何度も言いますように、資源管理を徹底して行って、そして、釣り漁法であるとか、それからはえ縄であるとか、資源管理にしっかり従って頑張っておられる沿岸漁業者がある一方で、こうした大規模な船団がこういう違法操業を行っているという事実があるとするならば、これはやはり公平さに欠けますよ。これはだめですよ。正義が通っていませんよね。そうしたところはちゃんとやっていただきたい。答弁はもういいです、時間がありませんので。しっかりやっていただきたいと思います。
次に、災害によって生じた漁業被害への対策について質問したいと思います。
昨年九月、台風二十一号によって漁業被害を受けた大阪府堺市で、私、堺市漁業協同組合連合会、そして堺市浜寺漁業協同組合から事情を聞きました。強風や高潮による浸水によって漁具倉庫が損壊する、倉庫内の漁網や電気工具、発電機、冷蔵庫、そうしたものが被害を受けて、数十万円から数百万円の個人負担となっているわけであります。
こうした被害に対する国の支援制度というのは基本的にない、あって共済制度、そして、激甚災害になった場合は、養殖等の施設に対して復旧事業があるというふうに伺っています。ほとんど個人的に負担しなければいけないということであります。
一体どのぐらい負担が生じているかといいますと、まとまったものがないというので、私の方の事務所でつくってみました。ここ五年間ぐらいの自然災害による水産関係被害の状況を取りまとめました。
長官、これはかなり苦労してまとめました。ぜひ御参考にしていただきたいと思います。合計の数字はほとんど合っているんじゃないかなというふうに思います。漁具で約九十五億円。養殖施設で四十二億円。漁具倉庫約十一億円。これらは、個人所有であれば支援が基本的に受けられないということであります。
一方で、農業では、被災農業者向け経営体育成支援事業というのがあります。
台風二十一号の農業被害に当たって、農水省はこういうふうに言っていました。「甚大な農業被害により、農産物の生産・加工に必要な施設・機械が損壊し、農業経営の安定化に支障をきたす事態となっていることから、当該施設・機械の再建等の支援を緊急的に実施する必要がある。」こういう通達も出して、救済に当たってきたところであります。
農業も、そして漁業も、同じく第一次産業であります。この第一次産業を保護するために、個人所有の施設、機械にもやはり支援を行うべきではないかと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○長谷政府参考人 先生から御紹介いただきました被害金額でございますけれども、これは、都道府県からの報告に基づきまして、その際に、個人の所有する施設ですとか、会社あるいは会社以外の法人がみずからの利用のために所有しているもの、共同利用でないものという意味ですけれども、その非共同利用施設としての被害額を整理、集計したものということになると思います。
台風などの被害が頻発しておりますが、漁業者の個人の漁具や施設等が被害を受けた場合には、その原状復旧や、新たに取得、整備などに活用可能な資金として、農林漁業施設資金等の低利の制度資金がございますし、また、災害による休漁時の減収ですとか、定置網などの漁具につきましては、その損害を補填する漁業共済制度があるということでございます。
○田村(貴)委員 農業の経営体育成支援事業とは違うんですよね。融資とか、そういう貸付けじゃないわけなんですね。
これは不可抗力だったんですよ。ちゃんと漁具とかは倉庫になおしていた。その戸とかシャッターが高波で損壊してしまって、海に流されてしまった。強風によって吹き飛ばされてしまった。こういう不可抗力に対して、やはり支援を講ずるべきだというふうに思っております。
大雨の報道もあって、現にもう災害が起こっています。ことし、どういう災害が起こるかわかりません。こうした災害が多発する状況の中で、漁業者に対しても、やはり将来、災害によって操業できない、廃業する人が出ないように一層の支援を強めていただきたい、そのことを要求して、きょうの質問を終わります。