198-衆-災害対策特別委員会-4号 2019年5月24日 災害関連死「分析・公表」 災害援護資金の返済免除 全災害に

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

最初に、災害関連死について質問します。
この四月から、政府として災害関連死の統一した定義を持つようになりました。災害関連死を生まない本腰を入れた取組、対策が必要であります。しかし、先月の私の質問に対する内閣府答弁では、現時点では災害関連死の事例を収集、分析することまで考えるに至っておりませんというものでありました。
大臣にお伺いいたします。
災害関連死を生まない、そしてしっかりとした対応を図っていく上では、やはり、過去の災害における災害関連死の状況やあるいはその対応をまずは掌握すること、そして参考にすることが何よりも肝要であるというふうに考えますけれども、再度大臣の答弁をお願いしたいと思います。


○山本国務大臣 お答えをいたします。
災害時において避難生活等が原因で亡くなるいわゆる災害関連死を少しでも減らすよう、政府全体として避難所の生活環境の改善に取り組んできたところでございます。
災害関連死を減らすためにも、まずその数を把握することが重要であると考えられることから、四月に災害関連死の定義を定め、関係省庁と共有するとともに、自治体に周知したところです。
お尋ねの災害関連死の事例収集につきましては、東日本大震災や熊本地震等の過去の災害関連死の認定例、判例等を収集、分析し、整理した上で公表したいと考えているところでございます。


○田村(貴)委員 わかりました。
災害関連死、それから被災者の孤立化を防いでいくために有効な施策の一つが、被災者見守り・相談事業であります。
前回の委員会では、東日本の大震災の被災者がようやく仮設住宅から新しい家に移っていく、その過程での見守りの必要性を私は質問でさせていただきました。熊本地震においても、ことしが三年目であります、仮設住宅の退去期限を迎えて新しい住宅での生活が始まってまいります。
厚生労働省にお伺いします。
これまでの厚労省の被災者見守り・相談事業についてでありますけれども、これは、仮設住宅の入居者、みなし仮設を含むんですけれども、仮設住宅の被災者までの制度なのか、それとも、自宅再建や復興公営住宅に入居後もこの制度は続けていく制度であるのか、熊本地震を例にして説明していただきたいと思います。


○八神政府参考人 お答え申し上げます。
まず、仮設住宅に入居されている方など、被災された方々の生活環境の変化に対応して、孤立防止や地域コミュニティーの再構築を着実に支援していくということは極めて重要であると認識してございます。
平成二十八年の熊本地震の際も、被災地の社会福祉協議会等に相談員を配置をし、仮設住宅に入居する方や、必要に応じ、災害公営住宅や再建した自宅へ転居した方等に対しまして、住まいや被災者支援制度等の日常生活上の相談支援、孤立防止のための見守り、地域のコミュニティー構築等の支援を行ってきたところでございます。
従来の仕組みにつきましては、以上でございます。
この被災者の見守りや相談支援のための事業につきましては、昨年度までは、大規模な災害が発生した場合に、その都度、予算化、事業化をしてきたところでございますが、今年度からは、特定の災害に限定をしない事業として予算を確保し、年度途中に不幸にも災害が発生した場合に、自治体が速やかに事業を実施できることとしたところでございます。
熊本地震につきましても、今年度からはこの新たな事業で対応することになりますが、支援対象の範囲は、昨年度までと同様に、仮設住宅に入居中の方に限らず、必要に応じ、災害公営住宅や再建した自宅へ転居した方なども含めるということとしてございます。
引き続き、自治体と連携を密にして、被災者の方への見守り、相談支援を行ってまいる、このように考えてございます。


○田村(貴)委員 自宅再建あるいは復興公営住宅に移った後も被災者の見守り、相談活動が必要だとされるところの理由について、簡単に御説明いただけますか。


○八神政府参考人 簡単にお答え申し上げます。
仮設住宅に入居されている方など、被災された方々の生活環境が変化をしていくということにも対応しまして、孤立防止、地域コミュニティーの再構築、こういったことを着実に支援していくためには、こういった方々の見守りですとか支援策というものが必要だ、このように考えておるということでございます。


○田村(貴)委員 仮設住宅から退去後も必要だということですね。はい、確認できました。
それでは、この後提案予定の災害弔慰金法の改正案にかかわって質問します。
阪神・淡路大震災のときには、被災者生活再建支援法はありませんでした。なぜ二十四年がたっても返済していかなければならないのか。私も、メモリアルデーを始め、何度も兵庫、神戸の皆さんからお話を聞いたことがありますけれども、被災者の率直な気持ちであろうかと思います。我が党は、その事情を踏まえて、低所得である借受人の返済を免除すべきであるということを繰り返し求めてきたところであります。
内閣府にお尋ねします。
被災者生活再建支援法の施行後の災害であっても、生活再建のためにやむにやまれず災害援護資金を借りているのが実態であります。そして、災害援護資金の返済が滞納してしまう、滞らざるを得ない状況が起こっている。東日本大震災など、その状況について政府として掌握されていますか。


○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
東日本大震災の災害援護資金については、適正な債権管理を図るため、被災自治体と意見交換をするとともに、未納率などの債権管理の実情について現在調査をしているところでございます。また、借受人が災害援護資金の償還が困難な場合においては、市町村が償還金の支払い猶予ができることとされていることから、内閣府としても、関係自治体に対して制度の周知に努めているところでございます。
今後とも、東日本大震災など、被災者生活再建支援法施行後の災害も含め、災害援護資金の債権管理について被災自治体から相談があれば、適切に助言するなど、適切に対応してまいります。


○田村(貴)委員 個々の災害で災害援護資金を借りざるを得なかった、借らざるを得なかったという方の償還状況についてどのような状況になっているかというのを聞きたかったわけなんですけれども、私の方から紹介させていただきますと、まず、私は福岡なんですけれども、福岡西方沖地震、あれから大分たちました。貸付総額は六億七千七百九十四万円でありまして、そのうち六割に当たる返済が滞っています。これは支援法の後であります。福岡市の分析によりますと、生活再建がうまくいっていないケースが多いといったことであります。
それから、東日本大震災、これは、昨年七月までに援護資金の返済が始まった方七千五百世帯のうち、約半数に当たる世帯が滞納の状況になっているということです。自治体などは、生活の困窮がある、それから、震災で勤務先がかわって収入が減ったと、生活上の問題を挙げておられるわけであります。
返済が滞るというのは、やはり被災の度合いが余りにも大きいからであります。そして、住家の再建にその資力が追いついていかないからであります。
被災者生活再建支援法では全壊、大規模半壊までが対象であり、そして、全壊であっても上限は三百万円の支給金となっているわけであります。たとえその支給金が受けられたとしても、あるいは全国各地からの義援金が受けられたとしても、その配分はこの返済に資することができても、滞納を生まざるを得ない状況があるということが今の二つの例でも明らかであるというふうに思います。
そこで、大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、やはり、災害援護資金の返済滞納の問題解決に向けては、半壊世帯までの支援法の適用であるとか、あるいは支援額の引上げ、こうした支援法の拡充がないとこの問題はこれから先も解決していかないというふうに私は考えるんですけれども、検討していかなければならないと思います。いかがでしょうか。


○山本国務大臣 被災者生活再建支援制度は、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、住宅に全壊や大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に対して、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により支援金を支給するものでございます。
支給対象の拡大や支給額の引上げは、国や都道府県の財政負担等の課題もあり、慎重に検討せざるを得ないところもございますけれども、半壊世帯への対象の拡大につきましては、昨年十一月の全国知事会からの提言を踏まえ、事務方において、全国知事会と協力して半壊世帯の実態の把握を進めるとともに、継続的に意見交換を行っているところでございます。
いずれにいたしましても、今後も引き続き、委員おっしゃるように、被災者に寄り添いながら災害対応に努めてまいりたいと思っております。


○田村(貴)委員 全国知事会からの提言を受けて、今、内閣府と知事会の方で実務協議が進んでいるというふうには伺っているところであります。そうしたところに、今回の災害弔慰金法の改正案が出ているということです。長い年月をかけて、自分の資力に応じて千円だけでも、二千円だけでもと払ってこられた阪神・淡路の被災者の方の状況を考えたら、これはやはりほかの災害にもこれから出てくる、今も出ているということであります。
この問題を解決するに当たっては、半壊世帯で住家の被害にお金がないという方は、やはり援護資金を借らざるを得ないんですよね。そして、仕事を失った人は、生活の再建のためにやはりお金を借りなくてはいけない。そして滞納が続いていくという問題です。ですから、解決の方法としては、支援法を拡充する、これは一つ大きな方法であることは間違いないと思います。できるだけ早く結論を、大臣、出していただきたいというふうに要求させていただきたいと思います。
最後に、今度の、阪神・淡路大震災の被災者の返済の状況等々をずっと考えることになりました。そうしたら、こういう事態を踏まえたら、今後、災害援護資金の返済は、どの災害においても生活保護基準に準じるような低所得世帯に対しては状況に応じて免除等も考えていくことが必要であろうかというふうに考えますけれども、そうした検討はこれからされていくおつもりでしょうか、いかがでしょうか。


○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
償還免除の対象範囲を拡大するに当たっては、既償還者との公平性を考慮する必要があると考えております。
阪神・淡路大震災に係る災害援護資金につきましては、このたび、被災者生活再建支援法制定前の災害であるという状況に鑑み、所得、資産の免除基準などを設定し、低所得者向けの新たな免除制度が盛り込まれた議員立法が検討されていると伺っているところです。
一方で、阪神・淡路大震災以後に発生しました災害に係る災害援護資金についても、さまざまな事情により返済が滞っていらっしゃる方がいらっしゃることは認識しておりますが、被災者生活再建支援制度が設けられていること、税金を原資とした公的融資であることを踏まえると、償還免除の対象を拡大することは適切でないと考えております。
今回の議員立法におきましては、償還免除の新たな要件として、現行法の死亡、重度障害の免除に加え、破産等が追加されるものと承知しており、制度としての適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。


○田村(貴)委員 そうはいいながらも、やはり課題が残っている、その課題に向けて、やはり行政、政治の力で解決していかなければいけない、そのことを指摘させていただき、私の質問を終わります。