198-衆-農林水産委員会-16号 2019年6月5日 就農はしご外すな 予算削減で混乱拡大

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

最初に、吉川大臣にお尋ねします。
本委員会でも、先月の日米首脳会談については何度も取り上げられました。しかし、日米間で何が確認されたのか、農産物は、牛肉はどうなっていくのか、これは全然わかりません。国会でも明らかにされないのは、これは、私は、もう異常事態だというふうに思います。
選挙が終わってから明らかになるとはとんでもないと、生産者や国民の声が今広がっています。
一点、お伺いします。
トランプ大統領、安倍首相のこの日米会談を受けて、農林水産省が今動いていることはありますか。農産物の取扱いで日本が受ける影響があるとするならば、調査などを行っているのでしょうか。大臣にお伺いします。


○吉川国務大臣 先般の日米首脳会談におきまして、両首脳は、日米貿易交渉につきましては、昨年九月の日米共同声明に沿って、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で議論が進められていることを歓迎をして、日米ウイン・ウインとなる形での早期成果の達成に向けて、日米の信頼関係に基づき、議論を更に加速させることで一致したと承知をいたしております。
日米交渉は政府一体となって取り組むことになりますけれども、農林水産大臣としての私の責務は、日米共同声明を大前提に、将来にわたって我が国の農林水産業の再生産を可能とする国境措置を確保することでございまして、このため最大限の努力をしていく考えでもございます。
影響についてという御指摘もいただきましたけれども、具体的な交渉はこれからでございまして、米国の団体等の要求を前提として我が国の農林水産業への影響についての試算をすることは、私は適当ではないと考えております。


○田村(貴)委員 やはり何もわかりません。こうなった以上は、やはり総理から直接お話を聞かなければなりません。
与党におかれましては、野党が要求している、総理出席のもとでの予算委員会を開催してください。
それから、武藤委員長、本委員会でも、総理出席のもとでの集中審議を野党は要求しています。私からも要求したいと思います。お取り計らいをいただきたいと思います。


○武藤委員長 引き続いて、理事会にて協議をいたします。


○田村(貴)委員 続いて質問します。
五月二十二日の委員会で、大中のまき網などの漁船団がイカ釣り船の集魚灯を使って違法に操業していることについて、私は事実を示して質問をいたしました。
水産庁長官は、違法操業しているのは知事認可の漁船だから県が取り締まるもので、国は見守るとの答弁でありました。
しかし、実際は違っていたのではありませんか。


○長谷政府参考人 お答えいたします。
委員からの御指摘を受けまして、再度、現場での取締りに当たっております長崎県庁に確認したところ、対馬の関係漁協から長崎県庁に対して提供があった情報の中に、国が許可をしているまき網漁船とイカ釣り漁船が朝方に錨泊、すなわち洋上でいかりどめしていたというものが含まれておりましたけれども、イカ釣り漁船の集魚灯を使った違法操業を示すものではなかったということでございます。
しかしながら、いずれにいたしましても、長崎県の漁業調整規則や漁業法では、まき網漁船がイカ釣り漁船を灯船として利用し操業を行うことは違法操業になりますので、水産庁としては、長崎県とも連携して、関係漁業者に対して法令の周知徹底及び指導を行うとともに、洋上での監視なども行ってまいります。


○田村(貴)委員 担当者の方にもお伝えしましたけれども、イカ釣り機を、巻き上げ機をつけていないイカ釣り船がなぜそこにいるのか、国の、大臣認可のまき網船と一緒になぜそこに停泊しているのか。そうしたら、何かやっているんだろうということになるわけですよ。しっかりと取締りを強化していただきたいと思います。
これは対馬だけの問題じゃないんですよね。
おととい、全国の沿岸漁師の方が国会に来られて、集会を開かれておられました。違法操業は、対馬海流に乗って北上する魚全てにかかわることだとお話を伺いました。資源管理に関する大問題であります。違法な操業の取締りを行っていただくように、強く要求します。
続いて、先ほど佐々木議員からもお話がありました農業次世代人材投資事業について質問をします。
新規就農者を支援するこの事業は、今年度、予算が一二%削減され、各県では対応に迫られています。
私のところでは、愛媛県からこのようなお話を伺いました。
東京の会社をやめて、そして愛媛に戻ってきた。農業を志し、ことし六月からの支給を当てにされていました。そして、研修に入られました。しかし、この六月からの交付金は受けられずに、十二月にならないとだめだと言われて、大変落胆されています。もうこの期間は無給であります、研修の中で。どうしますか。
さらに、岡山や兵庫などでも同様の事態が起こっておりますし、新聞でも報道されています。
局長、詳しい経過とか内容はもう先ほど聞きましたので、いいので、こういう事態が起こっている、答弁にもありましたように、真に事業を必要とする人が受けられていないのはもう事実なんですよね。これ、どうしますか。お答えいただきたいと思います。


○大澤政府参考人 お答えいたします。
減額の理由につきましては、先ほど答弁させていただきましたので、省略させていただきます。
現在の状況でございますけれども、私どもも、例えば愛媛県の方は私のところにも参りましたし、ほかの県の方もいろいろ話合いをさせていただいているところでございます。
予算額が限られている中での措置ではございますけれども、まず、実際に本当に、我々いろいろな考え方を示しているわけですけれども、全体がおりていないということで、もう当然のように、全体に予算額が、県には配分はされていますけれども、実際は事業実施主体は市町村でございますけれども、幾つかの県ではまだ市町村までは配分されていないというような事態もございまして、そこは今、こういう理由をいろいろ説明している段階でございますので、そこでおくれている県が一部あるということですが、当然のように、我々の基準を満たすような方々でも、結果的にはまだもらっていないというところもございます。
それがまた、一部の方が、不安を出しているという面もあると思いますので、我々としては、なるべく早くこの説明と県の理解を進めていただくとともに、交付対象者は速やかにまず決定していただくこと、それから、全体というよりも、まず、絶対にこの交付は行く、対象になるという方についてはもう早期に支払いを実施すること、こういうことも加えまして、自治体を指導してまいりたいというふうに考えてございます。


○田村(貴)委員 いろいろ言われましたけれども、これは農水省の制度ですよね。市町村がどうのこうのと言われたけれども、農水省の制度ですよ。そして、制度としてアピールされてきたじゃないですか。準備型で就農前に二年間、経営開始型で就農後に五年間交付金が受けられるから、安心して、農業につこうと決意されている方がおられるわけですよ。その方たちのはしごを外してはいけないんじゃないですか。
指針なり、あるいは指導なり、必要なものをやはりちゃんと進めていただいて、さかのぼっても、ちゃんと交付金はその就農を決意された方に支払うことができるようにしていただきたいと、強く要求しておきたいと思います。
最後に、棚田地域振興法案に関連してお尋ねします。
先ほども議論がありました。棚田地域を含めた中山間地の疲弊の原因というのは、販売額に生産コストが見合っていない、このことについては論をまたないと思います。
政府は、際限のない農産物の輸入自由化を今進めています。日米FTA交渉と並行して、アメリカの農家団体は、日本の米の輸入追加枠を、TPPの約束だった七万トンから十五万トンに、二倍に引き上げようと今要求しています。
こうしたもとで、本当に棚田を守ることができるのか、中山間地を守り振興することができるのか。今度の新しい棚田地域振興法の議論でもあったと思いますけれども、この法律ができたとしても、この目標に向かってしっかりと対策を打っていかなければいけないと思います。
先ほど大串議員から議論の中でも提案のあった戸別所得補償制度、この提案については非常に、私たちもいい提案だというふうに思います。棚田で田んぼをつくること、これをやらないといけない。田んぼをつくらずして棚田の振興といっても、それは棚田の振興にはなりませんよね。
私の方からも、この棚田振興、棚田地域、中山間地における農家に対する所得補償制度についてはいかがお考えですか。取り入れるべきだと思いますが、どうでしょうか。


○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の戸別所得補償でございます。
お米につきましては、十分な国境措置がある中で交付金を交付するということにつきまして、他の農産物の生産者や他産業、納税者の理解を得がたいなどの課題があるということでございまして、平成三十年産からお米の直接支払交付金は廃止をしているところでございます。
一方、棚田を含む中山間地域における所得の向上を図っていくため、日本型直接支払いによって、農業、農村の多面的機能の発揮や営農の継続を支援し、地域を下支えしつつ、中山間地農業ルネッサンス事業によりまして、地域の特色を生かした多様な取組を総合的、優先的に支援をしているところであります。
また、棚田におきましても、麦、大豆、餌米など、主食用米以外の作物の生産を支援することで水田のフル活用を進めることとしているところでございまして、これらの施策を通じて、棚田を含む中山間地域の農業の振興と発展を守っていく所存でございます。


○田村(貴)委員 続きは、この後予定されている法案審議の中でまたさせていただくということで、質問を終わります。