○田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律案に反対の討論を行います。
本法案は、農林水産大臣を本部長とする司令塔組織として農林水産物・食品輸出本部を設置し、輸出促進の基本方針を定め、実行計画をつくり、政府一体となって輸出拡大戦略を進めようというものであります。
こうした戦略を、安倍政権は攻めの農政と称して一兆円の輸出目標を掲げて推進していますが、その一方で、TPPや日欧EPA、さらには日米貿易協定など、際限のない輸入自由化路線を推し進めています。このもとで、二〇一八年度の輸出額は九千六十八億円にふえましたが、輸入額はその十倍の九兆六千六百八十八億円に拡大し、食料自給率はついに史上最低の三七%まで低下するに至っているのであります。
農産物輸入自由化による国内農業への破壊的影響は、輸出促進策で解消できるものではありません。農政の方向が全く逆を向いています。官邸農政を進める司令塔など、必要はありません。
食料輸入大国の日本の政府がやるべきことは、国内需要を満たす農業生産の拡大であり、食料自給率を向上させる農政へ根本的転換を図ることであります。
輸入自由化を一層拡大する日米貿易協定とともに、今国会に政府が提出した輸出促進法案は、足元の国内需要が外国産にどんどん奪われることから目をそらすものだと言わなければなりません。
なお、個々の産地や農業者などの輸出拡大の努力は尊重されるべきであり、輸出手続の改善や簡素化などは進めるべきであります。これは、新たな法律をつくらなければできないことではないということも指摘しておきます。
以上で反対討論を終わります。