201-衆-決算行政監視委員会第三分科会-1号 2020年4月6日 新型コロナ 医療費助成更新猶予を 歯科金属実勢価格に合う制度に

○田村(貴)分科員 日本共産党の田村貴昭です。
新型コロナウイルス対策について質問します。
最初に、加藤大臣、通告はしていなかったんですけれども、一問お伺いしたいことがあります。それは、感染病床のベッドの確保のことであります。
厚労省が、患者数が大幅にふえたときに備えた医療提供体制の確保についてということで、ピーク時において一日当たり新型コロナウイルス感染症で入院が必要な患者数とか、それから、外来を受診する患者数というのが試算式で出ています。
私、福岡県なんですけれども、福岡県の数は、必要な入院治療で計算しましたら、八千八百二十七人と出ました。おととい、福岡県知事が、今六十六なんだけれども、二百五十床まで確保にめどがついたというふうな記事に接しました。桁が違うんですよね。
これ、東京も今大変だし、ニューヨークの例を見るまでもないんですけれども、民間の施設も含めて、早目早目に手を打って借り上げるとか、万が一の場合に備えて必要な医療体制を、特に病床数の確保というのは大事だと思うんですけれども、私も改めて計算してびっくりしました。これが非常に大事だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。


○加藤国務大臣 これまでも、感染が急増したときの備え、その必要性はずっと言ってきたわけですけれども、じゃ、具体的な数字がないとなかなかわからないではないかということで、これも一つの仮置きな数字であることはそのとおりなんですけれども、専門家等も御判断をしていただいて、一定のほかの国の状況等を踏まえるとこんな状況になる。それで、それぞれの地域で、あのときのデータは、世代別に重症率とかいろいろ違うということでしたから、それも勘案して、今あった外来の患者さん、これはフローベース、その日一日発生する、入院と重症者はストックベースで数字を出していただいて、それに応じた体制を考えてほしいということで、三月三十一日までに報告をお願いし、今、いただいたものを精査しながら、できれば今週中には、途中段階になるかもしれませんが、状況は公表していきたいと思っております。
そういう中で、それぞれの地域においても、平時とても想像していないような状況でありますから、今委員御指摘のような、重症者あるいは中等者、あるいは、感染者と入院の差は、これは、いわゆる自宅ないし宿泊等々の療養場所で受けざるを得ない、受けていただくということになります。そういった体制をどうしくのか。更に言えば、病院の中においても、重症者、中等者、更に言えば、コロナウイルスの患者さんを受けなくて、日常的にはいろいろな診療ニーズがありますから、医療の提供体制の役割分担、これをしっかりやっていかなきゃならない。
しかも、当初は少し時間があるように少しイメージをしていた部分があるんですけれども、必ずしもそんな悠長なことは言っていられないなという思いで、更に加速化して体制の整備に当たっていきたいと思います。


○田村(貴)分科員 国のイニシアチブで急いで進めていただきたいというふうに思います。
続いて、障害者、難病、小児慢性特定疾患などの公費負担医療のことについて伺います。
この更新手続には、自治体に提出する申請書類に、診断書をとる必要があります。これは、特定医療機関で診断書をとる必要があるんですけれども、その担当医から、今通院によるコロナ感染リスクを避けるために受診を控えるように言われたとか、あるいは、感染したら大変だから来なくていいとファクスで処方箋をもらったというケースがあるというふうに聞きました。
こうして、受診できない場合には、診断書ももらえなかったら、手続の猶予について対応する必要があると思いますけれども、厚労省、いかがですか。


○橋本政府参考人 御指摘いただきました障害者に対する公費負担医療ということになりますと、自立支援医療制度というものがございます。障害児や障害者の方々が、自立した日常生活、社会生活を営むために必要な心身の障害の状態を軽減するための医療ということで、この当該費用の一部を助成しているものでございます。
このため、自立支援医療の認定に当たりましては、障害者の心身の障害の状態に対して、医師の意見書等を踏まえて、必要かつ最適な医療であるかどうかということを判断し、当該治療に必要な限度で期間を設定いたしております。
したがいまして、自立支援医療の有効期間につきましては、障害の状態に対して、医療の必要性を踏まえて、その都度申請するものでございますので、必ずしも更新というような考え方になじまないものも多いのではないかというふうに考えております。
また、人工透析ですとか、あるいは精神の通院医療のように、長期間にわたって、ある程度の頻度で行われる必要のある通院医療につきましては、こうしたもともと必要な通院の機会に、新たな認定申請に必要な医師の意見書等を取得することも可能ではないかというふうに考えております。
なお、長期間の医療が必要なケースにつきましては、最長一年以内としております有効期間の終了後に病状の変化あるいは治療方針の変化がない場合には、医師の意見書等を入手するための受診を省略できるなど、既に簡略化を図っているところではございますが、いずれにいたしましても、その御要望を踏まえまして、今後の取扱いをどうするかにつきましては、他の類似する制度における取扱い等も考慮しながら検討してまいりたいと考えております。


○宮嵜政府参考人 難病、小慢の方についてもお答えさせていただきます。
この医療費助成制度は、データの収集を通じて研究を促進する目的をあわせ持つものでございまして、毎年、その申請に当たって指定医の診断書の提出が必要とされているところでございますが、現在、新型コロナウイルス感染症の感染が日に日に拡大している状況にあるため、基礎疾患を有し、感染防止に特に配慮が必要との指摘がございます難病等の患者さんが受給申請手続のためだけに医療機関を受診しなければならないというような事態が避けられるようにということで、所要の措置を講じる方向で検討をしているところでございます。


○田村(貴)分科員 更新の時期が来て、やはり機械的に診断書が必要なわけですよね。
三月四日の「新型コロナウイルス感染症に係る公費負担医療の取扱いについて」という通知があります。これは受診なんですけれども、必ずしも指定医療機関でなければならないということでなくて、感染リスクを下げるために近場の病院でいいとするものであります。受診は近場の病院でいいとしながらも、更新手続には診断書が要って指定医療機関に行かなければならない、これは矛盾した話になりますね。
各地の医療機関ではクラスター感染が起きています。そして、コロナ感染のリスクは基礎的疾患だけではありません。障害者には、免疫力が低くて感染リスクが高い方も数多くいらっしゃいます。
大臣に、今答弁があったんですけれども、確認です。指定医療機関からの診断書をもらうのは、今、この状況では困難であります。そして、感染リスクも高めることになってしまいます。更新手続の猶予、すぐに対応を進めていっていただきたいと思いますが、いかがですか。


○宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。
まさに委員御指摘のとおりで、診断書をもらうためだけに医療機関を受診するというのは大変なリスクでございますので、そういうような事態を避けられるようにということで、早急に検討してまいりたいというふうに考えております。


○橋本政府参考人 自立支援医療の取扱いにつきましても、早急に検討させていただきたいと思っております。


○田村(貴)分科員 確認しました。
続いて、障害者の就労継続支援事業について質問します。
こうした事業所では、学校休校に伴って食材の納入がなくなったり、イベント中止に伴う販売収入の減少があったり、感染予防のために病院や高齢者福祉施設で販売ができないなど、深刻な収入減少が生じています。
きのうの熊本日日新聞は一面トップで、障害者の働く場苦境と報道しています。きょうされん熊本支部が県内三十二の就労支援事業所に新型コロナの影響のアンケートを実施したら、四割超で受託事業が減った、八割に上る事業所が自主製品の売上げが減ったと紹介をしています。
熊本県内の就労継続支援事業所、A型の事業所の例をちょっと紹介したいと思います。
利用者は二十数名おられるんですけれども、職員の方とともにお総菜をつくって販売している。カフェレストランで定食やパン、お菓子を提供しています。地域に根を張って、中学校の特別支援学級や特別支援学校の生徒さんを職場体験で受け入れて、生徒さんと一緒につくった総菜を学校の職員室でも販売しています。病院や介護施設、民間事業所にも訪問販売をして、保育所の給食を卸しているということであります。
ところが、学校は一斉休校、病院は行けない、そして、カフェレストランも客が減って、イベントも中止になった。生産活動の収入は、通常八十万から九十万円あったものが、三月は三十万円台に激減した。そして、固定費の支払いがやってきます。三月には資金がなくなって、社会保険料納入では理事長が三十万円自腹を切ったという、もう痛切な訴えを聞いてきました。
仕事をつくり出すのに苦心をしています。当面の資金繰りが本当に苦しいという状況であります。
質問します。就労継続支援A型事業所では雇用契約を結んで障害者の就労支援を行っているので、雇調金、雇用調整助成金の対象になると認識をしていますが、よろしいでしょうか。


○達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。
雇用調整助成金は、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業等を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に休業手当等を助成するものでございます。
委員御質問の就労継続支援事業所A型につきましては、その事業主が経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、障害者を含む労働者に対して一時的に休業を行い休業手当を支払った場合は、雇用調整助成金の対象となるところでございます。


○田村(貴)分科員 休業補償というのは平均賃金の十分の六以上でありますから、最低賃金すれすれで働く利用者の休業手当というのは、最低賃金を割る可能性が出てまいります。であるならば、休業手当の全額を国が負担するという姿勢を示していただきたい。これは要望しておきたいと思います。
それから、三月九日の厚労省の通知、新型コロナウイルスへの対応に伴う就労継続支援事業の取扱いについて、第三報、これについて伺います。
発熱した利用者さんがおられた場合に、感染予防のために休んでもらう場合があります。このときの報酬の算定はどうなりますか。簡単にお答えください。


○橋本政府参考人 今御指摘いただきましたようなケース、障害福祉サービスにおきまして、サービス事業所での支援を避けることがやむを得ないというふうに市町村が判断する場合等におきまして、利用者の居宅等で例えば電話等を用いてできる限りの支援の提供を行ったというふうに市町村が認める場合には、通常提供しているサービスと同等のサービスを提供しているものとして、報酬の算定を可能としております。
この報酬に係る柔軟な取扱いというのは就労継続支援事業所にも同様に当てはまるものでございまして、御指摘の場合につきましても、この柔軟な取扱いの中で報酬を算定することは可能であるというふうに考えてございます。


○田村(貴)分科員 その柔軟な対応なんですけれども、自治体による柔軟な対応というところには、感染拡大防止に最大限留意して行うように通知されています。感染拡大防止のために休んでもらわなければいけない、もらわざるを得ない場合には、これは基本的に報酬の対象になるという理解でよろしいでしょうか。


○橋本政府参考人 今申し上げましたように、まさに感染の防止のための、都道府県等からの休業の要請があった場合ですとか、あるいは市町村が判断した場合ですとか、そういったものも含めまして、通常と同様の報酬の算定を可能にしているというものでございます。


○田村(貴)分科員 感染リスクを回避するためには、やはり休んでもらいたい、それから休まざるを得ないというケースがあるわけです。自治体によってはこの通知の受け取りに差があるという話も聞いていますので、改めて周知をお願いしたいというふうに思います。
それから、報酬を日割りにしたことで、利用者さんに逆に出てきてもらわなければいけないという問題が生じます。報酬に算定されないからであります。この際、感染拡大防止のために利用を控えてもらう場合には、報酬に算定されるように月額方式に改めていただく、これはもう事業所から声が上がっています。月額方式に見直すべきだということも要望しておきたいというふうに思います。
先ほどA事業所の例を申しましたけれども、事業主が社会保険料を自腹を切っているというような大変厳しい状況があります。
最後に、大臣に。こうした事業所はそもそも厳しいんです、経営が。ここにコロナが追い打ちをかけているということです。当面の資金繰りが大変苦しいという声に国としてどう応えていくのか、これはやはり政治に課せられた重要な任務だというふうに思います。大臣、いかがでしょうか。


○加藤国務大臣 先ほど局長等からも御説明を申し上げたように、各事業所に対しては、利用者の居宅等でできる限りのサービスを提供した場合には通常と同額の報酬の算定を可能にする等、報酬の支払いにおける特例を設けさせていただいている。それから、無利子無担保、これは融資ではありますけれども、経営支援。さらには、先ほど御質問がありましたけれども、雇用調整助成金の対象にはなるということであります。それから、社会保険料についても、正確には担当からお話をさせていただいた方がいいと思いますけれども、一定の猶予等の規定もあるということであります。
さまざまなそうした制度をつくっておりますから、そういった制度があることをそれぞれの事業者の方々にしっかり御理解をいただいて、もちろん、その地域における感染の状況を踏まえながらの事業だとは思いますけれども、長期的に見れば事業が継続していただけるように努力をしていきたいと思います。


○田村(貴)分科員 事業が継続できないような状況になると、障害者の人たちの就労の場がない、支援の場がないということになります。安倍総理も、政治に課せられた最大の使命は事業を継続していくことだというふうにおっしゃっています。収入減対策は政府の責任においてしっかりと行っていただくように要請します。
続いて、歯科治療の金銀パラジウム合金の逆ざや問題について伺います。
国会では、各党からこの質問が出されているところであります。歯科の治療に欠かせない金銀パラジウム合金の高騰がとまりません。そのために、歯科医院が購入する金パラの価格と保険償還金額との間に大きな差が、いわゆる逆ざやが生じて、歯科医院の経営を圧迫しています。
資料をお配りしています。保険医の団体、保団連の最新の資料であります。私、先日、福岡県の歯科保険医協会の方からこの説明を受けました。あわせて、裏面には、貴金属の素材価格の変動推移、これは厚生労働省の出典でありますけれども、あわせて資料をお配りしました。
大臣、よくこのグラフを読んで、見ていただきたいんですけれども、二〇二〇年四月の基準材料価格は六万二千四百九十円、これは三十グラムです。昨年十月の五万二百五十円より少しばかり上がっています。しかし、この間に金パラの購入価格は急上昇しています。購入価格との差、逆ざやは一万三千七百二十六円から二万七千七百六十円と一万円以上拡大しています。これはやはり歯科医師さんからの不満は募るばかりであります。
こういう状況に対して、厚生労働省はどういうふうな対応をしておられるんでしょうか。


○浜谷政府参考人 お答えいたします。
歯科用貴金属につきましては、その素材である金やパラジウムが市場価格の変動を受けやすいことから、通常二年ごとに行われます診療報酬改定に加えまして、六カ月に一度の四月と十月に、素材価格の変動幅がその時点の告示価格のプラスマイナス五%を超えた場合に随時改定を行ってきたところでございます。
これに加えまして、この三月二十五日に中医協におきまして、こういった今回のような急激な価格変動にも対応できる仕組みについて御議論いただきまして、現行の四月と十月の随時改定に加えまして、一月と七月に素材価格の変動幅がその時点の告示価格のプラスマイナス一五%を超えた場合にも告示改定をするルールを新たに導入したところでございます。


○田村(貴)分科員 その随時改定ですね、随時改定の二というところですけれども、これは、ことしでいうならば、一月から三月までの素材価格がベースになってまいります。既にこの一月から三月までの間は、このグラフにあるように、相当な高騰状態にあるわけですよね。四月の改定の基準材料価格は六万二千四百九十円、これで最大一五%の利ざやが生じるとするならば、一五%価格が動いたとするならば、それを上乗せしても七万一千八百六十三円なんですね。ですから、歯科医院は既にもうこの時点で九万円から払っているわけです。大きな差があるわけです。逆ざやそのものが解消できないんですよね、一五%上げたとしても。
ですから、この逆ざやを解消するには、まだこの制度としては足らないんじゃないですか。


○浜谷政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、この七月に仮に改定するといたしますと、一月から三月の実績に基づいて改定をするということになります。
金パラの市場価格でございますけれども、上下いたしておりまして、そういう意味では、逆ざやのときもあれば順ざやのときもあります。そういう意味では、市場価格の変動に対しまして一定幅を超えた場合には、その実績に基づいて随時改定するということで、全体としてみれば、平均、損も得もないような形に、できる限り近づくものというふうに考えております。


○田村(貴)分科員 いやいやいやいや、私は今言いましたでしょう。これだけの差がついているわけですよ。買うときは九万円台だったのに、保険償還価格は五万円である。これだけの差があるところで、随時改定二というのを設けたと。その上下の幅が一五%だとしても、五%だったものを一五%にしたところで追いつかないじゃないですかと。
これだけこの一、二年は逆ざや状態が続いているわけですよ。今、局長は利ざやというふうに言われたけれども、これは逆ざや状態がずっと続いているじゃないですか。それはもう、担当の方から確認しましたよ。こういう今の期間から見たら、これはもう、歯科医院にとっては大変厳しい状況が続いている。この一五%では解消できないというふうに私は言っているわけです。
そもそも、この七月の随時改定二でなぜ一五%としたんでしょうか。逆に、今後、この措置がとられたとして、素材価格が値上がりしたけれども、変動が一四%だったとしたらどうしましょうか。一五%未満、一〇%とか一一%とか。そうした場合には、素材価格の変更というのはとられないわけですよね、七月の場合は。そうですね。それを確認したいんですが、どうですか。


○浜谷政府参考人 お答えいたします。
随時改定の仕組みでございますけれども、過去の実績に基づいて、その平均価格に基づいて告示を改定するということでございます。
そういう意味では、時間差はありますけれども、実勢価格に近づける。多少の時間差はあります、ありますけれども、実勢価格に近づけるということでございまして、そういう意味では、一月から三月の価格が仮に一五%を超えた場合には、その間の実勢価格になります。
加えまして、今御指摘いただいているグラフは上がり一辺倒でございますけれども、三月に入りまして市場価格が下がったりしておりますので、そういう意味では、市場価格自体もかなり上下に変動する。それを一定の実績に基づいてできる限り実勢に近づけるということでございます。
二点目の御指摘でございますけれども、今回のルール、プラスマイナス一五%ということでございますので、仮に一五%を下回る場合には改定はございません。
ただ、この一五%、プラスマイナス一五%とした理由でございますけれども、例えば一月と七月を四月と十月と同じようにプラマイ五%の場合に改定するということも考えられるわけですけれども、これは中医協での御議論でもございましたけれども、仮にそういたしますと、過去の実績に基づきますと、かなり頻回に告示改定をすることになります。
そういたしますと、医療機関におきましてシステムの改修等の事務負担もかなりのものになる、こういった御意見もございまして、今回、プラスマイナス一五%としたところでございます。


○田村(貴)分科員 いやいやいや、先ほども言いましたように、お認めになったように、定数で一五%と定めてしまう、五%と定めてしまったら、それ未満だったら価格は変わらないわけですよ。そういう問題点がそもそもあるわけなんです。
歯医者さん、そして歯科医療機関が購入するときの金パラ合金の実勢価格に合わせた保険償還価格であったら、利ざやも、そして逆ざやも起きないわけなんですね。なぜそういうシステムにならないんでしょうか。
例えば、金パラの製造業者さん、それから販売している業者さんというのは、そんなにたくさんあるわけじゃないというふうに伺っています。今どういう価格で製品を卸しているのか、販売してるのか、伺ったら聞けるわけですよね。
なぜ、聞いて、今歯医者さんが購入するときの価格に合わせて、そして保険償還しないのか、合理的な措置がなぜとれないのかということをお伺いしたいと思います。


○浜谷政府参考人 お答えいたします。
そういう意味では、できる限り実勢価格に近づけて償還するというのは一つの考え方ですし、そういうことも重要だと思います。ただ、一方で、これは、医療機関におきましてその価格に基づいて実際の事務処理をするわけですから、その医療機関における事務負担ということにも一方では考慮する必要があると思います。
そういう意味では、そのバランスの中で今回は御議論いただきまして、余り頻回な改定ですと医療機関の事務負担が重くなるということで、そういった意見も考慮いたしまして、プラスマイナス一五%と、一定の幅、急激な変動に対応する、そういう範囲での随時改定ということにさせていただいたということでございます。


○田村(貴)分科員 だから、変動を緩和する措置にほかならないわけなんですよ、この随時改定というのは。素材価格の変動を見ただけなんですから。そういう利ざや、逆ざやの幅を緩和するにほかならない措置であるということがわかりました。だから、この問題の根本的な解決には至らないわけであります。
コロナの影響もあって、例えばパラジウムの鉱山が閉鎖、閉山するというような措置がとられた場合に、これはパラジウムの価格が高騰することもあり得ますよね。どうなんですか。今何か落ちつきを見ていると言いましたけれども、逆に高騰する要素だってあるんじゃないですか。


○浜谷政府参考人 お答えいたします。
そういう意味では、市場の変動がどうなるかということは誰にもわからないわけでございまして、そういう意味では、実績を見た上で、どのような形で、どのような間隔で、どのようなルールで改定するかというのは、これは決めの問題でございます。
そういう意味では、市場価格が大幅に変動した場合ということで、大幅といいましょうか、急激な価格変動への対応ということで、今回は、事務負担等も考慮して、プラスマイナス一五%という基準のもとに改定をするというルールにしたということでございます。


○田村(貴)分科員 やはり素材価格の変動を見て価格を決めていくというのは実態に合わない。そして、随時改定もこれは緩和措置にすぎない。だから、今みたいに逆ざやがこれだけ幅があるときには、やはり解消には至らないということが明らかになっています。
医療経済実態調査、これは厚労省の統計ですけれども、これによりますと、二〇一八年度の歯科医師、個人の歯科医師の収入は、給料と賞与を合わせて年間六百三十二万円となっています。月額約五十三万円であります。保団連の調査では、一カ月五十万円から六十万円の金パラ逆ざやが生じているということであります。収入に対してこの逆ざやでお金を全部払ってしまう。だから、医院の医業収益というのはゼロになっているんですよね。
こういう苦しい思いをしている歯科医院、歯医者さんが全国におらっしゃる、ここにやはり思いをはせなければいけません。歯科医師の本人の収入がない状態がずっと続いているわけですよね。そうですよね。だから、これを解決するためには、今までのやり方に加えて抜本的な改善策が必要だというふうに思います。
最後に大臣にお伺いします。
金銀パラジウム合金というのは、私も歯で大変今までお世話になってまいりました、これは大変重要な歯科の材料です、保険診療の歯科医療にも、歯科治療にとって欠かせない金属材料であります。国民にとって、保険で安心の歯科治療を保障するためにも、それから、歯科医院が購入した金パラに対して同等の保険償還とするためにも、制度自体の改善が急いで求められるのではないかなというふうに思いますけれども、大臣、最後に答弁をお願いします。


○加藤国務大臣 補綴に使うんですかね、この金銀パラジウム合金の価格、あるいは歯科としての報酬、ギャップがあるという話は、これは、私も歯科の関係者の方とお会いをするごとにむしろ聞かせていただいている中身の一つであります。
いただいた資料を見ると、特に、二〇一九年、一八年からですか、急激に価格が高騰しておりまして、この間、本来であれば二年に一回ですね、診療報酬改定そのものは、それを半年ごとにやったという特例を設けても追いつかないということで、今回、四半期ごとのルールも決めさせていただきました。
そのときの議論、さっき、何で一五%なのかというお話がありました。私もそういう思いを持ちながら議論をさせていただきましたが、これは、歯科の関係者の方々からも、一番なのは、きょうの相場みたいのがあって、グラムで出すというのが一番いいのかもしれませんが、それじゃ保険の手続という意味においては大変煩雑になる。こういう御議論もあって、こうした制度に落ちついたというふうに承知をしております。
まずは、こうした制度、これはスタートしたばかりでありますから、これがどのくらい機能していくのかということを検証していかなきゃならないと思いますけれども、ただ、いずれにしても、こうした市場においてかなり価格が上下する貴金属についての価格をどう設定するかのあり方、これについてはよく考えていかなきゃいけないというふうに思います。


○田村(貴)分科員 終わります。