【農林水産委員会】森林組合法改定案に対する反対討論

○田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、森林組合法の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
今、全国の山林では、皆伐して再造林しない、あるいは、強度の間伐が行われ、残った木が風で倒れる、病気で枯れるといった施業が広がっています。山は、高性能林業機械を通すため、大きな作業道がジグザグに入れられ、そこから沢に向かって崩れ落ち、残った木も利用できない、荒れた状態が拡大しています。そして、それが、豪雨、台風の際に、土砂崩れ、山津波を引き起こし、河床の上昇と保水力の低下によって洪水が頻発しています。伐採による環境の激変が生態系を攪乱し、生物多様性を損なっています。何より、森林の持続的、永続的な利用を阻害しています。
ところが、安倍政権は、意欲と能力のある林業経営者に森林を集約し、大規模化を進めるとし、森林経営管理法を制定しました。昨年は、国民の共有財産である国有林をも売り渡す国有林野管理経営法の改悪を行いました。本法案はこれに続くもので、いずれも、未来投資戦略と規制改革推進会議の提言の具体化であります。
その目的は、森を大規模に伐採し、大型化した川下の木材産業、あるいは丸太ごと燃やすような大規模バイオマス発電に低価格で大量の素材供給を行うためであります。
本法案は、現行法四条から「営利を目的としてその事業を行つてはならない。」との規定を削除し、森林の伐採を含む木材の生産、販売事業について、事業譲渡や吸収分割、新設分割といった営利事業の組織変更制度を導入します。これは、森林所有者の共同、相互扶助組織であるはずの森林組合を、企業的な性格の組織へと変容させるものです。
これによって、より大きな森林組合が、小さな森林組合の林産事業、販売事業に参入することが可能になります。不採算事業の整理縮小が進むとともに、リストラなどの人員整理にもつながりかねません。本法案は、森の荒廃を一層進めるものと言わざるを得ません。
森林組合の弱体化の原因は、復興期から高度成長期にかけての乱伐が木材の輸入自由化を招き、材価が長期にわたり低迷したことにあります。本法案はそこに何らメスを入れておらず、再び目先の利益を追うという過ちを繰り返すものです。大規模化、効率化、利益最優先のやり方では、森林の公益的機能が発揮されないばかりか、山村地域の一層の過疎化、空洞化が進みかねません。
森を守り育て、高い価値をつけて売る、そうした持続可能な林業を発展させることにこそ力を注ぐべきであることを強く主張し、反対討論とします。