衆参両院の農林水産委員会は12月8日、閉会中審査をそれぞれ行い、野党各党は吉川貴盛元農水相が在任中に大手鶏卵生産企業アキタフーズ(広島県福山市)から現金数百万円を大臣室で受け取った疑惑をいっせいに追及し、面会記録の提出など求めましたが、野上浩太郎農水相や同省幹部は「捜査活動にかかわる」と拒否しました。
省あげた調査迫る 田村衆院議員
日本共産党の田村貴昭衆院議員は、吉川氏の農水相就任後、アキタフーズ前代表が鶏の国際飼養基準案について「日本の業者に不利にならないように」と大臣室などで現金を渡し、直後に政府が「多様な飼養形態が認められるべき」だと反論するコメントを国際獣疫事務局(OIE)に提出したとの報道を紹介しました。
その上で、「現金授受が真実なら、カネで行政がゆがめられたという大問題になる」と強調。農水省が大臣室を提供し、現金授受にかかわっていたことになるとして、「組織として事実関係を明らかにする責任がある」「省を挙げて調査を行うべきだ」と迫りました。(質問動画はコチラ)
野上農水相は、捜査中だとして説明を拒否し、OIEへの対応についても「妥当であった」と強弁。田村氏は、「妥当だったというなら、意思形成過程も含めて説明し、資料も出すべきだ」と重ねて要求しました。
歴代関与なら深刻 紙参院議員
日本共産党の紙智子参院議員は、日本養鶏協会の業界紙「日鶏協ニュース」2019年2月号に、家畜のストレスを減らすための飼育環境の改善(アニマルウェルフェア)を目指す国際的な基準づくりに対抗するために日鶏協などが立ち上げた「対策協議会」が、吉川氏や農水省の課長2人に要望書を提出して力強く働きかけ、その後同省がOIEに「力強い反論」を提出したとの記事が掲載されていたと指摘。「裏金で政治がゆがめられた疑いが出てくるのではないか」とただしました。
「捜査活動にかんすること」を理由に答弁を拒否した野上農水相に、紙氏は、内閣官房参与の西川公也元農水相もアキタフーズから「豪華クルーザーで接待を受けた」と報じられていると指摘。「歴代大臣2人がかかわっていたとすれば、深刻な問題だ」として、吉川、西川両氏の参考人招致を要求しました。(しんぶん赤旗 2020年12月9日)