2月10日の衆院予算委員会で、吉川貴盛・西川公也両元農林水産相が鶏卵大手アキタフーズから現金を受け取った贈収賄事件を取り上げた日本共産党の田村貴昭議員。野上浩太郎農水相は「判断は妥当だった」というだけで何も答えず、養鶏業界の意向に沿って行政がゆがめられた疑惑が一層深まりました。(質問動画はこちら)
田村氏は、「アニマルウェルフェア(AW=動物福祉)」を目指す国際的な基準策定に反対する養鶏業界が複数の政治家や農水省幹部に賄賂と接待を繰り返していたことを時系列で示しました。
意向通りに
2018年9月に国際獣疫事務局(OIE)が養鶏場への巣箱の設置の義務化などAW基準を提案。翌10月にアキタフーズの秋田善祺(よしき)代表、吉川農水相(いずれも当時)、河井克行元法相、農水省幹部らが会食し、11月に西川氏(日本養鶏協会顧問)の同席のもと、同協会が吉川氏にAW基準に関する要望書を提出。同月に秋田氏から吉川氏に現金が提供されました。そして12月に開かれたOIE提案を協議する農水省の「OIE連絡協議会」には秋田氏の息子(同社副社長)が臨時メンバーとして出席し、養鶏業界の意向に沿った結論が出ています。
田村 秋田氏が息子を(協議会に)出してほしいと頼んだのか。
農水相 日本養鶏協会から推薦された。
田村 金銭を提供した企業が審議会に出る。信じがたい人選だ。
正論は無視
協議会でのAWの議論はどうなったか―。田村氏は、協議会メンバーの天笠啓祐日本消費者連盟共同代表が、「国際基準をつくるべきと発言したが無視されている感じだった。出来レースだったのだろう」と証言したと紹介。野上農水相は「さまざまな意見があった」というだけでした。
さらに、贈収賄事件の発覚後の昨年12月18日の協議会で、天笠氏が事件を踏まえてAW基準の再討議をするよう意見を述べたが無視されたと証言したと指摘。議事概要にも同氏の発言は記載されていません。
田村氏は、「真っ当な意見だ。なぜ無視したのか」と追及。野上農水相は答弁に立てず、接待を受けた水田正和生産局長が「事実だ」と答え、無視した理由は説明しませんでした。
事件全体の経過から田村氏は「カネを贈った側の要望が、受け取った大臣のもとで実現」したことがはっきりしたと強調。真相解明のために、吉川・西川両元農水相、会食に参加した枝元真徹事務次官の証人喚問と議事録公開を求めました。(しんぶん赤旗 2021年2月11日)