吉川貴盛元農林水産相が鶏卵大手・アキタフーズの秋田善祺元代表から賄賂を受け取ったとして在宅起訴された事件をめぐり、農水省が設置した検証委員会が6月3日に報告書を提出しました。日本共産党の田村貴昭議員は同日の衆院農林水産委員会で、「報告書は真相の解明にはほど遠い」と批判しました。(質問動画はコチラ)
秋田氏は2018~19年、畜産動物のストレスを軽減する「アニマルウェルフェア」に関する国際基準に反対するよう求めて、吉川被告や当時内閣官房参与だった西川公也元農水相に現金を提供したとされ、枝元真徹事務次官(当時生産局長)ら同省幹部6人を接待しました。これについて報告書は「要望を受けた政策方針の変更は認められず、政策がゆがめられたと疑われる事実も確認できなかった」としています。
田村氏は3日の質疑で、要望を受ける前は「実態を見極め、実現可能な範囲で(アニマルウェルフェアを)求める」とした農水省の方針が、秋田氏からの要望によって変わったことを追及。「秋田氏の要望で、政府内の検討会に息子の正吾氏を臨時に追加している」「カネを送った側の要望が、受け取った側の大臣の下で全て実現している」と告発しました。また、報告書の調査では「吉川氏、西川氏、秋田氏にヒアリングもしていない」と指摘し、集中審議を要求しました。
立憲民主党の大串博志議員も、「身内同士のヒアリングで、大臣や西川氏から影響受けたと答える職員がいるわけがない」と指摘。職員のメールや関係書類の調査も行っていないと述べ、「行政にゆがみはなかったという結論ありきのお手盛り報告書だ」と批判しました。
鶏卵汚職事件の真相解明にむけて、野党が要求する関係者の国会招致はいよいよ不可欠になっています。(しんぶん赤旗 2021年6月6日)