日本共産党の田村貴昭衆院議員と紙智子参院議員は12月22日、それぞれ衆参の農林水産委員会で畜産酪農の経営支援についてただしました。
田村氏は「規模の大小、中山間地のような不利な条件であっても農家が安心して経営に取り組めるようにすることが重要だ」として、政府の認識をただしました。金子原二郎農水相は「規模の大小を問わず、持続的な経営を実現することが重要だ」と答弁しました。(動画はコチラ)
しかし、田村氏が、肉用牛肥育経営安定交付金制度(マルキン)では肥育牛の販売額が生産費を下回った場合に交付される補てん金が9割どまりとなっていることから、「現在、畜産農家は飼料や資材、燃油の高騰で追い詰められている」「離農・耕作放棄地化に向けて追い打ちをかけてしまう」と10割補てんを求めたのに対し、金子農水相は「コスト削減や収益性の向上への意欲を弱めることが懸念される」などと拒否しました。
田村氏は、マルキン制度では補てん単価が標準的生産費で決まるため、生産費がより多くかかる小規模農家に不利な仕組みとなっている点も指摘し、「畜産農家の実態に応じた制度となるよう改善すべきだ」と主張しました。
紙氏は、コロナ禍で牛乳の消費量が落ち込む年末年始にかけて5000トンもの生乳廃棄の懸念が高まっていると指摘。生産者、乳業者が拠出金を出しあって乳製品の在庫対策をしても追い付かない実態をあげ、輸入している3万トンの飼料用脱脂粉乳と置き換えて、消費拡大を支援するなど国が需給調整に乗り出すよう求めました。金子農水相は「関係者と連携したい」と述べるにとどまりました。(動画はコチラ)
紙氏は、政府が規模拡大を要件とする「畜産クラスター事業」で増頭増産体制を推進してきたものの今度は生産抑制を迫っているとして、増産のアクセルと抑制のブレーキを同時に求めるのかと追及。関係事業者の連携を図る「畜産クラスター事業」で設備投資した人は、生産抑制で返済計画が狂っていると迫りました。農水省の森健畜産局長は「金融機関に条件変更など柔軟な対応を求めている」と述べました。(しんぶん赤旗 2021年12月24日)