衆院外務委員会は10月28日、米国産牛肉のセーフガード(緊急輸入制限措置=SG)を見直す日米貿易協定の改定案を自民、公明両党と立憲民主党などの賛成多数で可決しました。日本共産党の田村貴昭議員は外国産牛肉輸入がさらに増えると批判し反対しました。(質問動画はコチラ)
牛肉のSGは、年度ごとに輸入数量が基準を超えると発動し、関税を一時的に引き上げることで、輸入の急増を抑え、国内牛肉生産への影響を緩和する制度。昨年3月に発動した経緯があります。
日米間の合意文書では、発動した場合は「発動水準をより一層高いものに調整するため協議」すると定めており、今年3月、発動条件を厳しくする内容で日米が実質合意しました。
田村氏は「この合意内容では、米国産牛肉の輸入が発動基準を超えても、TPP11(11カ国による環太平洋連携協定)締約国と米国を合わせた合計輸入量がTPP11の発動基準内であれば、米国はSGが発動されず、輸入が増える」と指摘。一方、「最大の獲得ポイントだった米国の自動車・自動車部品関税の撤廃交渉は何も進んでいない。どこがウィンウィン(双方の勝利)か」と批判しました。
田村氏は「飼料価格の高騰で全国の畜産・酪農の農家は極限状態だ。千葉県のある市では6戸の酪農家のうち2戸が廃業。北海道では自殺者も出た。宮崎では『廃業の仕方を教えてほしい』という相談まできた」と訴え、「ウクライナ危機、人口増加、気候変動などでお金を出せば食料を買える時代は終わった。食料の外国依存・輸入自由化を改める時だ」と強く求めました。(しんぶん赤旗 2022年11月1日)