【論戦ハイライト】軍拡財源法案 田村衆院議員追及 改修・待遇改善に充てよ 厚労省、個々の実態把握せず

4月18日 財金委③ 日本共産党の田村貴昭議員は、4月18日の衆院財務金融委員会で、軍拡財源確保のために国立病院機構の積立金422億円と、社会保険病院などを運営する地域医療機能推進機構(JCHO)の積立金324億円を「不要見込み」として国庫に返納させる問題を追及しました。

 

組合も猛反対

 

 田村氏は、JCHO57病院のうち15病院、国立病院機構140病院のうち77病院が建物の耐用年数を超えていると指摘。JCHOの病院は民間金融機関から借り入れができず、磁気共鳴画像化装置(MRI)などの医療機器やベッドの購入のために市民に募金を呼び掛けている病院もあることを紹介。両機構は、感染症法でパンデミック(感染爆発)時には医療提供義務が課されています。

 

田村 積立金を軍事費ではなく建て替えや改修に充てるべきだ。

 

羽生田俊厚生労働副大臣 ただちに困難になると考えていない。

 

田村 すでに困難な状況が生まれている。積立金をめし上げたら財政余力はなくなる。

 

 JCHOでは45病院が収益赤字であり、本部の手持ち資金が少ないために国庫返納分を各病院が負担しなければならず、田村氏は個々の病院の実態把握を求めました。

 

 また、国立病院機構でも、90病院が赤字(2021年度)だと指摘。福岡県の小倉医療センターでは、外来棟の建て替えができず台風がくるとあちこちで雨漏りしている実態を告発。同機構の病院長会議では「積立金の使用目的を機構は国に主張すべきだ」と抗議の声が上がり、組合も猛反対していると迫りました。

 

田村 この声を重く受け止めるべきだ。

 

厚労副大臣 全国の病院を把握していないので、確認する。

 

田村 422億円あれば10病院の改善が可能だ。コロナ対応で命を救うためにかけがえのない役割を果たしてきた両機構の病院のために使うべきだ。

 

離職者100人超

 

 さらに田村氏は「この状況で深刻なのは看護師の大量離職だ」と語りました。京都医療センターでは定数590人に対して毎年の離職者が100人を超えたと紹介。労働基準法違反の働き方が横行しているとの報道を示し、国が実態を把握しているかただしました。

 

厚労副大臣 事実関係の精査中で、必要に応じて適切に対応する。

 

田村 職場環境の改善には財政の安定が必要だ。こんな時に積立金の返還を迫るのは言語道断だ。

 

 田村氏は、国立病院は独立行政法人化以降、国家公務員より賃金が安くすえ置かれ、慢性的な欠員が続いていると指摘。日本医労連の調査では、JCHOの病院でも約8割の病院で看護師が定員割れしているとして、「患者一人当たりの患者数が増え、医療事故にもつながる恐れがある」と警告し、「軍事費のために積立金を返納させるのではなく、看護師などの医療従事者の待遇改善にこそ充てるべきだ」と訴えました。(しんぶん赤旗 2023年4月19日)